第16話
「……なんで僕がこんなことをしなきゃいけないのか……心底疑問なんだけど……お金にもなりやしない」
「しょうがないだろ。授業なんだから」
僕は龍魔と会話をしながら、ぼーっと目の前の光景を眺める。
目の前の光景。
今まで一度たりともダンジョンに潜ったことのない大人たちがダンジョンの中へと入っていく姿を。
「絶対何かあったら僕らのせいにされるよ?いい年した大人が子供に向かって上からピーチクパーチク。あー。嫌だ嫌だ」
「お前、結構大人嫌いだよな……」
「いい思い出がないんだよ」
「闇が深そうだし、突っ込まないでおくわ」
「はぁー」
僕は深々とため息を吐く。
日本で起きてしまった世界最大のテロ事件以来、今までダンジョンに潜っていなかった人もダンジョンに潜るようになっていったのだ。
自衛のため。
そして、ダンジョンに潜ってステータスが強くなれば事故などにあっても生き残れる可能性もあるため。
今の日本ではダンジョン探索ブームが起こっているのである。
だがしかし、ダンジョンとは人が死ぬ危険な場所。
素人がダンジョンに潜って多くの死人が出てしまい、社会問題となっていた。
そのため、国の人間、積極的に冒険者、冒険者育成学校に通う生徒たちが素人たちが安全にダンジョン探索出来るようにサポートするような生徒が出来上がっていた。
「よし。全員ダンジョンに入ったかな」
数十人いた全員がダンジョンに入ったことを確認した僕は一度頷く。
「……このまま帰っちゃ駄目かな……?」
「駄目に決まっているだろ。俺らがいかないと彼らだけになってしまうんだから」
「なんで僕たちは二人だけなんだよぉ……」
「仕方ないだろ。俺らの能力的に二人で十分なんだから」
龍魔が好き好んで使い、得意とするのは召喚魔法。
大量の蜂を召喚し、襲わせるという戦い方をするのが龍魔であり、雑魚の掃除を行うのが最も得意なのだ。
それに対して魔法、スキルの使用が出来ず、己の技量と素のステータスだけでクラスでも上位の実力を持っている僕は単体性能抜群である。
一対一に強い僕。一対多に強い龍魔。
この二人だけで結構なことをこなせるてしまうのだ。
「まぁ、そうだけどさぁ」
「ほら!さっさと行くぞ」
「……ほーい」
僕と龍魔は二人でダンジョンの中に入っていった。
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