第15話

「……?なんか今日ものすごく追われるんだけど……」

 

 闇夜を駆け抜ける僕は追いかけてくる政府の人間の量に首をかしげる。

 いつもどおりよくわからない人たちが戦っているところに介入して、良い感じに引っ掻き回して立ち去った僕。

 いつもでもあれば僕を追いかけるのを諦めるのだけど……何故か今日開けは諦めないでしつこく追いかけてきていた。


「くくく……汝らも知恵を手にしたか」

 

 このまま鬼ごっこを続けていても無駄だと判断した僕はその場で足を止める。

 そして、僕は意味深なことを呟いてカッコよく、紳士的にその場に立った。


「……うるさいわね」

 

 僕の前に立つのは玲奈さんが率いている小隊かな?……何人が小隊なのか、よくわかっていないけど、人は少ないし多分小隊だろう。


「あなたは何を知っているの……?」


「ほう……?国家ともあろう者がただの一市民に情報提供を望むと?」


「あら?あなたってば一市民だったの?なら情報提供の義務があるはずだけど?」


「おっと。これは一本取られたな……それで、何を知っている?だったか……その答えは非常に簡単。全てよ。汝が求めし情報は……?この我から一本取った褒美だ。叡智が一端を見せてあげようではないか」


「それはありがたいことね。じゃあ……聞くわ。ここ最近。ダンジョンの魔物が荒ぶっているわ。その理由は」


 ……その理由は?

 え?ここ最近の

 やっばい、適当なこと言ったけど何もわからないよ……?


「変革の時は近い。備えよ。衝撃に。畏れよ。衝撃に。受け入れよ。衝撃に。世界はようやく変革する。変革が行われてしまう。我は汝ら生命が残りしことを望まん。汝らに祝福があらんことを」


「へ……?」

 

 僕の言葉。

 抽象的でそれっぽく適当に言った僕の言葉を前に玲奈が首を傾げる。


「隊長……!捕縛命令を!」


「駄目よ。捕縛なんて出来やしないわ。うちの人間が全員揃っていたとしても返り討ちにあうだけよ。あれは怪物なの。そうとしか表現出来ない存在なのよ」


「懸命な判断だ。人間。希望は既に汝が手の中にある。ピースは揃っている。汝ら人類の……唯一種たる人類が持つ神器たる『疑念』に期待している」

 

 僕は一言告げた後、闇を一気に開放して玲奈たちに膝をつかせる。

 そして、魔法も使って彼女たちの意識を飛ばしていく。


「汝らが選択に、未来に祝福があらんことを」

 

 僕は適当にそれっぽいことを言ってこの場から姿を消した。

 にっげろー!!!

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