第11話

 授業が今まさに行われている学校の屋上。


「……この子がそうなのね」


「初めまして」


「えぇ。初めまして」

 

 そこで僕は陽向に紹介されたお国の人と顔合わせを行っていた。

 どこかで見覚えがあるような気がするけど……覚えていない。向こうも『初めまして』って言っているし、初めましてであっているだろう。多分。


「僕の名前は知っているよね?」


「えぇ。もちろんよ。私のことはそうね。ミデンとでも呼んで頂戴」


「はい。ミデンさん」


「……玲奈?」


「……陽向?」

 

 なんか陽向とミデンさんが互いに睨み合っている。何をしているのだろうか?そういうゲームがあるのかな?

 というか、玲奈?一体誰のことを指しているのだろうか?


「はぁー。まぁ、良いわ。さっさと本題に入っちゃうわね。あなたの授業の時間の邪魔もしているわけだし。本題の内容も察しているでしょ?我が国の監視下からたやすく脱出した佐倉という少女についてのことよ」


「はい」

 

 僕はミデンさんの言葉に頷く。

 佐倉は結局どうなるのかな?


「結論から入ると、あの少女の面倒はあなたに見てもらいたいわ。当然、彼女の養育費として金銭は渡すわ」

 

「おー」

 

 そうなったのか。

 よく要注意人物であろう僕に要注意人物である佐倉を一緒にしようだなんて考えるね。


「そうなった理由なのだけど……佐倉という少女の気持ちに考慮して、とのことよ。彼女は輸送されている最中も、取り調べの最中も、部屋で保護されている時、常に『お兄ちゃん』と呼び、泣いていたそうだ。だからこそ、彼女のためを思えばあなたと一緒に居させてあげるのが一番良いという結論が出たのよ」


「なるほど……」

 

 佐倉ってば泣いていたのか。それはちょっと悪いことをしたかも……。


「まぁ、そんなのは建前で、どうやって脱出したのかもわからない少女を再度保護して、また脱出されてお偉いさんたちから睨まれたくないってことだろうとは思うけど」


「ふむ……」 

 

「まぁ、彼女についてはそんな感じよ。それで?あなたが不甲斐ない私たちの代わりに彼女を保護してもらえるかしら?」


「えぇ。良いですよ」


「ありがとう。その言葉を待っていたわ。じゃあ……よろしく頼むわね」


「はい」

 

 僕はミデンさんの言葉に首を縦に振った。

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