第5話
「そ、それで……?結局この子は何なんだ?」
お昼ごはんを食べ終わった後。
龍魔が僕の足の間に挟まっている佐倉を指さして尋ねる。
「お前は自分の妹じゃないとか言っていたけど……?」
「あぁ……僕もわからないんだよね。昨日、夜ご飯を食べていたらいきなりこの子が僕の家に押しかけてきて、僕のことをお兄ちゃんって呼んできて」
「は……?」
「え?どういうこと?」
「しかも自分の名前は有本佐倉だって話すんだよね」
「は……?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええ!!!」
僕の言葉を聞いて、二人が驚く。
特に陽向が大きな驚愕を示し、佐倉の方へとその体を大きく近づける。
「え?え?え?……佐倉、なの?
「口臭い」
佐倉の非常にわかりやすくてはっきりとした悪口。
「はぐぁぺきょぷっぺらぁー!!!」
それを受けて、が大きく身を捩らせてばったりと倒れる。
「え?……え?ね、ねぇ……」
「ん?」
「私……口臭い……?はぁー」
陽向が僕のすぐ目の前に顔を持ってきて息を吐く。
僕の鼻孔を陽向の口臭がくすぐる。
「ちょっと臭いかも。ちゃんと歯磨きしている?」
「はぐぁぺきょぷっぺらぁー!!!」
僕の素直な感想を聞いた陽向が吐血して倒れる。
「やっぱお前らは兄妹だろ。間違えないわ。容赦のなさが人のそれじゃない」
「人じゃない!?!?」
僕は龍魔の言葉に全力で噛みつきに行く。
「いちいちそこに過剰反応するな。……というか普通の反応だろ。もう少しで良いから人の心を持てよ。優しくしてやれ。あまりにも不憫だわ」
「……?」
「もう少しお前は道徳を学べ。道徳で人生課金したんか」
「ちょっと何を言っているのかわからない……というか本当に大切なのはここじゃないんだよ。この佐倉についてなの」
「うぅぅぅぅぅぅぅ。毎日朝昼夜。長い時間歯磨きするわ……」
僕はぐったりとうなだれている陽向の方へと視線を向ける。
「一体これが何なのか。佐倉に調べてほしいんだけど」
「ふへ?」
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