第4話
「……えっと、本当にどういうことなんだ?」
いつもの屋上。
そこで昼食を取っているとき、龍魔が僕たちを見てボソリと呟く。
「これ以上無いカオスだ。普通は入れない高校の屋上で私服の幼女とご飯を食べる高校生とは思えない見た目の高校生。ご飯の内容は幼虫の……生?」
「生じゃないよ。ちゃんと火は通してる。」
土の中から掘り起こした幼虫を熱しただけの簡単な料理を口に含む。
「美味しい!」
佐倉は心底美味しそうに幼虫をバクバク食べている。
昨日のカタツムリも美味しそうに食べていたし、あまり虫食には忌避感がない子なのだろう。
「そいつにもっと良いのを食べさせてやれよ……」
「そんなことを僕に言われても……」
初対面がつい昨日なのだ。
そんなことを言われても困ってしまう。ここまでこの子を育てた人に言ってくれ。
「……は?」
僕の言葉に対して龍魔が首を傾げる。まるで何を言っているのかわからない。そんな風に主張しているかのように。
「いや別に僕はこの子が今までどんな食生活を送ってきたとか知らないんだけど……?」
「は……?お前の妹じゃないの?」
「違うけど?」
「お兄ちゃん!!!」
「……はぁ?」
龍魔の表情が困惑に支配された頃。
「ごめん!ちょっと先生の呼び出しが長引いちゃって!」
本来開けちゃいけないはずの屋上の扉を平然と開けて、陽向が屋上へとやってくる。
ちなみに陽向も天文学部に入っている。
特に活動もせず、ただただ屋上を占拠して自由に使っている天文学部に。
「って。えぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええ!?なんで幼虫さんを食べているの!?き、気持ち悪いッ!!!な、なんで!?そんなものを!?どうして!?」
屋上へとやってきた陽向は幼虫を食べている僕と佐倉を見て理解出来ないと言わんばかりに大きな声を上げる。
「むぅ!」
なんて失礼な!僕のちゃんとしたご飯なのに!それを気持ち悪いとは……なんたる言い草か!泣いてしまうぞ!
……幼虫だってちゃんと食べれるのに……。美味しいんだよ?
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