第38話
「ふんふんふーん」
僕は鼻歌を歌いながら廊下を歩く。
今、ここを襲っているのは多分だけど昔僕がお世話になったこともある『神宮』とか名乗っている組織だろう。
襲ってきた黒ローブの存在たちに強い見覚えがあった。
人体を作り出す術を手に入れて、史上最強の彼女を作るべくいろいろと実験していたユニークな男の組織だったはずだ。
でも……あの子の目的はあくまで自分の彼女を作ると言うもの。
こんなふうに学校を襲う理由はないと思うんだけど……僕の知っていた時代の組織とは変わってしまっているのかな?
まぁ、良いや。
とりあえず今はこんな暗躍しやすい場を作ってくれたこの人たちに感謝だよね。
「クソッ……なんで俺がこんなことをしなきゃいけないんだよ……かったりぃ」
僕はブツブツと文句を言っている男を見てにやりと笑った。
あれについていけばなんか面白そうなことになる予感ッ!
■■■■■
働けよ。
「ふー」
ただただぼーっとタバコを吸って休憩している男を見て、僕は男に不満を覚える。
「……ぶるっ!?」
ずっと僕が男を見つめていると、当然男が自身の体を震わせ、当たりをキョロキョロと見始める。
ん……?どうしたんだろう?」
「……やるか」
そして、何故か男は当然やる気を出して立ち上がって歩き始める。
その歩き方には一切の隙がなく、真面目な様子だった。
「おぉー」
僕は小さな、男には聞こえないレベルの声量で歓声の声を上げる。
ちゃんと働いてくれるのか!やっとだよ……ッ!
「くくく……」
しばらく進んでいると、男は先生を先頭に避難している大衆とエンカウントする。
「ッ!?!?」
「きゃっ」
「あ……、あっ……」
黒いローブで全身を覆う存在、このような事態を引き起こし、人を殺して回る存在。
そんな存在の一人を視界に映した生徒たちの間に恐怖の感情が広がっていく。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!」
「嫌だッ!死にたくないッ!死にたくッ!!!」
「お母さんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!」
「うわーんッ!!!」
そして、それは容易く混乱と動乱を広げ、生徒たちが脱兎のごとく逃げ始める。
「あっ!?待っ!」
先生による統率など無意味。
こんな状態ではどうすることも出来ないだろう。
「うるせぇ」
逃げ出した生徒たちに対して黒ローブはその優れたる牙を剥き出しにする。
「今だね」
僕は魔力を開放した。
この場を……絶対的な力と恐怖が支配した。
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