第35話
「……」
一つの影が舞い降りる。
絶大な力とともに……。
「何者だよ……あれ。明らかに只者ではない気配をビンビンに出しているけど。」
「やばい奴」
僕の隣にまでやってきていた龍魔の疑問に僕は簡潔な解答を渡してやる。
この答えが全てだ。
「……」
僕は一切油断せずに舞い降りた人影を見つめる。
真っ黒なローブで全身を隠し、顔すら見えぬ存在。
そんな存在の放つ存在感、圧迫感、力の圧は圧倒的だ。
「何が起きているのか……まるで理解できていないが、あれは俺らの敵であっているよな?お前、あれに勝てるか?」
「無理だね」
「「「ッ!?!?」」」
簡潔かつわかりやすい僕の言葉を聞いてクラスの人たちに衝撃が走る。
「絶対に無理だ。スキルと魔法が使えないってデメリットは戦いのレベルが上がれば上がるほど大きくなるんだよ。半年もすれば僕はクラスで最弱になっていると思うよ。そんな僕があいつに勝てる未来は見えないよ」
いつの間にか双極の短剣を握っている黒ローブを牽制するように足を動かしながら僕は冷や汗を流す。
一度でいいから冷や汗を流してみたかったんだよねッ!ギリギリの戦いをしている感があって、楽しい。
「だからどうしよう……」
「ちょっと。私を忘れるなよ。一応これでも先公なんだが」
僕がどうしようかと悩んでいる時。
修練場の端の方でパソコンをイジって進行を堀宮くんに全部丸投げした先生がゆっくりと立ち上がり、僕の隣に立つ。
「ちゃんと戦えるし、しっかりと強いんだよ。こっちはな」
先生が異空間収納と呼ばれる珍しいスキルを使い、異空間に収納されている馬鹿デカい大剣を取り出して構える。
「あっ。それじゃあ……全部任せちゃって良い感じかな?」
「いや、補助くらいはしてほしいかな。うん。……ちょっと一人は大変そうな相手だ」
「まぁ、それくらいは良いですよ」
僕は足を動かし、石を宙に浮かせる。
「ほいと」
その石を黒ローブへと投げつける。
僕の投げた石が短剣になぞられて落ち、それを合図に黒ローブが動き出した。
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