第34話

「だから飛行機を消滅させることが出来る?」


「えっ……全力でやれば?」


「じゃあ、全力でやってここに迫ってきている飛行機を消滅させてよ」


「……へ?」

 

 僕の言葉を聞いて陽向は固まる。


「そ、それはどういう……?」


「ん?わからない?今朝のテロ事件のように、ここに向かって一機の飛行機が向かってきているんだけど」


「……詳しく」

 

 陽向の表情が変わる。勇者としての、強い覚悟に染まっている勇者としての顔に。


「詳しくも何も言葉の通りなんだけど……。なんとなく感でわからない?」


「……わからない、が。わかるようになる……」

 

 陽向の体が光り輝く温かな光が漏れ出し、膨大な力が吹き出して学校を包み込む。


「うわっ。力技……」

 

 その力は学校を飛び出し、街を包み込んでいく。


「見つけた」

 

 迫りくる……何かの力で完全に気配を絶ち、目に見えないようになっている飛行機と陽向の魔力がぶつかりあったその時、陽向はポツリと簡潔に一言告げる。

 

「おっ」


「……聖剣」

 

 陽向は何もないところから光り輝く大いなる聖剣を引き抜き、僕に背を向けてその聖剣を振り下ろす。


「ちょっ!?何を!?」

 

 陽向の聖剣の一撃は容易く修練場の天井を打ち破り、前へ前へと突き進んでいく。


「良し」

 

 その力の奔流が飛行機を包み込む。

 気配を絶ち、目に見えないようになっている飛行機。それであっても所詮はただの飛行機。

 陽向の一撃を食らえばひとたまりもない。

 塵すら残さず飛行機は消して見せる。


「……ッ!そんなに」


「なっ……何、あれ?」

 

 飛行機がなくなったその場所。

 そこに見える人影。百にすら届きそうな人影。

 それを見て修練場に軽いパニックが広がる。


「いってら」

 

「行ってくるッ!」

 

 陽向は大地を蹴り、天空を切って進む。

 いつの前にかその体は光り輝く黄金の鎧に包まれていた。


 

 ギンッ!!!

 

 

 天空で陽向の聖剣と、百にすら届きそうな人影の持っている武器がぶつかり、甲高い音を響かせる。

 それと同時に他の人影たちは学校の方へと堕ちていく。

 そのうちの一つがこちらへと向かって落ちてくる。


「あっ。やべ……」

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