第33話
「……し、失礼ッ!」
僕の顔面へと向かって飛んでくる細い……陽向の手。
「ほい」
それを僕は強引に掴んで引き寄せ……狙うべきは足。
陽向の膝に向かって足の裏を見せる。
「ヤァッ!」
膝を踏み抜いて砕かんとする僕に対して陽向は強引に距離と詰めて、僕の動きを封じてから自分の頭を強く振る。
「にょい」
僕はそれを頭を下げて回避する。
陽向の頭はびっくりするくらいの石頭。
直接頭と頭をぶつけ合うのは悪手……こちらがやられてしまう。
「……ラァッ!」
「……!?」
掴まれた腕を引き剥がそうとする陽向の胴体ごとを掴み、跳躍。
「よいしょ」
そしてそのまま地面へと叩きつける。
陽向の抵抗は全て無意味。
全部外してやった。
「いっ」
地面に叩きつけられた陽向は当たり前かのように立ち上がり、僕のことを睨みつけてくる。
「んー。やっぱ硬いなぁ」
全然倒れてくれない陽向を前に僕は苦笑を漏らした。
今、僕と陽向はガチの戦闘を行っていた。
魔法禁止、スキル禁止ではあるものの、お互い一切の手加減をせず素のステータスそのままで圧倒的な暴力を振るっている。
力を使っていない僕と陽向の素のステータスは同じくらい……少しだけ陽向の方が上かな、という程度。
技量で見るのならば僕の方が上。
僕と陽向はかなりいい勝負を演じていた。
ちなみに僕と陽向に一瞬でコテンパンにされたクラスメートたちは僕と陽向の戦いを眺めている。
「行くよ」
僕は一度宣言してから大地を蹴り、陽向との距離を詰める。
「うん!」
陽向は僕の攻撃に対してが上手く合わせてくる。
腕と腕。足と足。
それらがぶつかり合う。
腕をもう一度掴みに行きたいところだけど……陽向も掴まれないように細心の注意を払っているため、中々つかめない。
「あっ。ねぇ、陽向」
腕と腕を絡めあい、身動きの取れなくなってしまったタイミングで僕は口を開く。
「ん?」
「陽向ってば飛行機を消滅させることできる?」
「へ?」
いきなりの僕の言葉に対して陽向は疑問符を浮かべた。
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