第29話
天宮。
かつて、ダンジョンで手にした魔法とスキルの力を使って大量虐殺を行って、死刑になった大罪人であり、魔法とスキルを使った犯罪の中で最も大きな事件。
それでも死傷者の数は56名。
海外で起こっている魔法、スキルによるテロ事件と比べれば遥かに被害者が少なかった。
海外と比べれば安全な日本。
だがしかし、それでも絶対に安全とは言えなかった。
かつての日本で行われたカルト教団の手によって行われた地下鉄オウムサリン事件は世界で初めて化学兵器を使って行われた無差別テロなのだ。
実は世界で一番最初の化学兵器を使った無差別テロ事件は日本で行われているのである。そして、その事件を引き起こしたのは日本人であった。
日本の敵はそこに住んでいる日本人。
長くより続く。人種問題でも、宗教問題でもない。
あぁ……何故カルト教団に対して有効的な対策がおこなれていない日本国で二度目が起きないと言えるのだろうか?
そんな日本が……平和であると言えるだろうか?
日本はずっと平和ボケしていたのである。
テロなど起きない。
そう……信じていたのだ。
動乱。
混乱。
混沌。
黒煙が太陽を遮り……街を包み込む業火が太陽の代わりを果たす。
太陽の代わりに地上を照らす業火、それに照らされるのは地獄のオーケストラ。
人々の悲鳴。
人々の泣き声。
人々の怒号。
人々の怨嗟。
人々の絶叫。
首が転がり、血が流れ、臓物が壁に芸術的な終わりを表現する。
赤ん坊は潰れ、頭の失った子供が親を探してさまよい、首だけとなった親が子の名を呼ぶ。
火災で肌を失った人の海が水を求めて血をすすり、死に絶えていく。
男も、女も、子供も、老人も、人間以外も、全ての生命が奪われていく。
救いは無い。
行われるのは虐殺。繰り返される地獄。
拡大していく被害。
これを地獄と呼ばずしてなんと言うか。
「暗天『藤』」
地獄を前に死神が微笑む。
苦しみが浄化され、地獄は天国へと塗り替えられていく。
死傷者の数、1万人超え。負傷者の数は数えるのも馬鹿らしい。
世界最大のテロ事件が日本国で行われた。
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