第28話

 平和の時間。

 しかし、それを壊さんと動く影は、闇は……確実に存在していた。


「……最悪ね。これは」

 

 ダンジョン誕生。

 それは全世界にとって衝撃的なものであった。

 政府が受けた衝撃の種類は、民衆の受けた衝撃と少しだけ変わっていた。

 

 陰陽師、忍者、魔女、エクソシスト、シャーマン。

 非現実的とされている存在、人ならず力を振るう存在。

 そんな存在は確かに存在していた。

 その人たちにとって全ての人たちに自分たちの持っている力である魔法とスキルを与えるダンジョンという存在は全ての面においてあまりにも衝撃的だった。

 

「昔からある組織まで動き出しているじゃない……ここで一体何をしようとしているのよ……」

 

 日本国特務機関。

 昔ながらの名家、陰陽師家たちの運営する対ダンジョン政府機関。

 

 そこの機関とは別組織、国家保安庁調査部特務機関第三部隊とは言うかなり特殊な立ち位置にある組織の一人である玲奈は闇の世界を歩いていた。


「確実にあの子の関連ね……でも、別に勇者はさしたる重要視されている存在だったかしら?」


 玲奈は小さくため息をつく。


「目的も、組織全容も知らない……あれに何も知らないと呼ばれるのも当然ね。……でも、何もしないわけにはいかない。国に仕える人の人間としての職務を果たすだけだ」

 

 彼女の通った後の道。

 そこに残されているのは無惨な死体だけであった。

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