第23話

 ダンジョン遠征。

 なんか途中、よくわからない犬っころが現れたりもしたが、概ね無事にダンジョン遠征を終える事ができた。

 他の生徒たちも全員無事だ。


「ふー。やり遂げた」


「えっと……友達との初めてのイベント……楽しかった」

 

「ふぅ……疲れた。もう二度とやりたくない」


「えぇ!?」

 

 素の状態での戦闘とか辛い。

 本来の力を使える状態であれば、ダンジョンをそのまま吹き飛ばすなんてことも出来るのに。


「俺ら何もしてないな」


「別に今回は戦う経験を積む……というよりもダンジョンの空気に慣れるというものだったから別に戦わなくても何の問題もないけど……ものすごいほんわかとして雰囲気だったわよね。なんかあの二人と一緒にいると駄目になりそう」


「……別のところがこれ以上ないまでに強化されるぞ。陽向はまだ付き合うが浅いから知らんが……亜蓮は信じらないような化け物だぞ?感性が人のそれじゃない。あれは多分怪物が人の皮を被って人の振りして振る舞っているだけ。うん」


「ァ?」

 

 龍魔のあんまりな評価に頬をふくらませる。


「睨むな!睨むな!お前の思っているよりも怖いから!それ!」


「なら僕を化け物扱いしないことだね」


「いや、お前は化け物じゃん」


「ハ?」


「それだけは変わることはない」


「てやぁ!」

 

 僕は龍魔に向かって軽い飛び蹴りを放ち、叩きのめす。


「……ッ。地味に痛いんだよ。これぇ」


「ふん!当たり前だよ!痛くなるように蹴っているんだから!」


 僕は龍魔をにらみ、告げる。


「……まったく。怖いことで。だから化け物なのだ」


「なんだとぅ!?まだ懲りぬか!」

 

 僕は龍魔に何度も足蹴りを放つ。


「あっ!まっ、ちょ!えっ……だんだん威力が……待って!?これはシャレになら」


「静かに!」

 

 僕が龍魔を蹴っている先生の声が、大きな声が聞こえてくる。

 

「よし。静かになったな」

 

 今、話している先生はうるさくしていた生徒の腕を握り潰し、その後一瞬で回復魔法を使って治した男だ。

 怪我なんてしていないし、生徒の腕が潰されたなんて気の所為だという弁論でシラを切ったとんでもない男だ。

 腕を握りつぶされたい奴なんて居ない。

 だからこそ、一瞬で全員がピタリと黙った。 


「よし……ではダンジョン遠征の振り返りを……」

 

 先生がつまらなく、長い話を聞き流す。こんなのまともに聞く方がどうかしているよ。うん。

 あ、ダンジョン遠征の成績は僕たちの班が一番だった。

 ダブルスコア……なんてものじゃない。数百倍の差をつけての圧倒的な一位だった。

 圧倒的な一位!僕らを讃えよ!

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