ダンジョン出来た世界で、世界最強の僕は陰の実力者ごっこをして遊びたい！……遊んでいたらなんか勝手に勘違いされて世界最強のラスボス扱いされているんだが！？

第21話

　僕の元に全員の驚愕の視線が向けられてくる。

「ん？どうしたの？」

「ま、魔法やスキルが使えない、とは……？」

「え？そのままの意味だけど」

　魔法やスキル。

　ダンジョンより与えられる恩恵……なのだが、僕は自分の持っている魔法やスキルとは違う力のせいで、ダンジョンの恩恵を受けられないのである。

　僕の持っている二つの力のうちの一つは大きな代償があり、もう一つの力である暗天は僕が影の実力者として遊ぶのに必要な力であり、こんなところで披露出来る力ではない。

　僕の二つの力を使えば、魔法と似たようなことが、というか魔法と全く持って同じ性質の力を使うことが出来るのだけど、その二つの力を使っているときじゃないと使うことができない。

　そのため、今の僕は何の力もなしに素のステータスと技量だけで戦わなくてはいけないのである。

「……ちょ、ちょっと信じられないんだけど……え？あの力って魔法やスキルもなしなの？」

「うん。そうだよ」

「化け物じゃないか」

「えぇ！？ひどい！？」

　僕は龍魔の言葉に驚愕を覚える。

「いや、それは間違いないと思うよ。君は間違いなく怪物だ」

「えぇぇぇぇぇぇええええええええ！？有本さんまで！？」

「いや！当たり前だから！なんでスキルや魔法もなしにあんなに意味わからない強さを持っているの！？人間！？」

「あ、っ……あの」

「人間でしょ！？僕を見て！？Look at me！！！」

　僕は大きな声を上げて僕の存在感をアピールする。ひどい。

「じゃあ……何なのよ。魔法もスキルもないしにあの強さって……」

「えっと……」

「ふっ。そんなに驚くな。有本。こいつはそういう奴だ。驚きを引きずるな。驚かなくなったらこいつがつけあがってとんでもないことをやらかすから、驚かないのは悪手だが……こいつのやること一つ一つにそんな大げさに驚いていたら疲れてしまうぞ……経験者は語るってやつだ」

「なるほど……」

「酷くない！？」

「あの！！！」

「「「ん？」」」

　突然大きな声を上げた陽向に驚き、僕たちは陽向の方に視線を向ける。

「あっ……あ、あの……えっとぉ。魔物がこっちに向かってきている。と、というかもう……」

「「「へ？」」」

　僕たちは視線をさっきの犬っころが居た方向へと戻す。

　そこに居たのはこちらへと……本当にすぐそばにまで迫ってきていた犬っころの姿だった。