第20話

「抜刀術……えぇっと……おりゃ!」

 

「抜刀してないじゃん!?納刀してないじゃん!?最初から抜いているじゃん!?後技名思いつかなったよね!?」


「あっ……え、そ、その……ま、魔剣技、邪王炎殺黒龍波!」

 

「合わせなくて良いんだよ!?恥ずかしがっているじゃん!?しかも中二病の代名詞な技名!?」

 

「……いやぁ、他にツッコミ役がいると助かるわぁ」


「勝手にツッコミ役にしないで!?……そこは我慢するから、せめてボケないで……」


 ダンジョン。

 そこで僕と陽向が二人だけで魔物を一方的に虐殺していた。

 龍魔と有本さんはそれをちょっとだけ離れたところから見ているだけ。

 

 僕と陽向。龍魔と有本さん。

 ここのペアの実力差の壁はあまりにも……あまりにも大きすぎた。

 そのため、僕と陽向は一瞬で戦いを終わらせる一方、龍魔と有本さんが苦戦している間に戦いを終わらせた僕と陽向が苦戦していた相手を倒していた。


 なら『もう最初から戦わなくてよくね?』という龍魔の一言。

 それによって、龍魔と有本さんが戦線から離脱し、僕と陽向が魔物を殺す役になっているのだ。


「ふー。これで100!」

 

 足蹴りで犬っころの頭を消し飛ばして僕は満足げに頷く。


「あっ……大変だったね」


「別にあまり苦戦してないけどね。弱かった。うんー」


「あっ、え、あ、うん。そうだね」


「よし。さっさと別の魔物も探しに行こうか」


「はい!」

 

 僕と陽向はマイペースに、ゆっくりと進み始める。

 その後を龍魔と有本さんがついてくる。


「こっちに行こうか」

 

 T字路。

 僕は右の道を指さして、陽向に告げる。


「あっ……こ、こっちの方が良いと思うだけど」

 

 陽向がおずおずと反対側の道を指差す。 


「あっ、陽向も気づいていた?なら、行こうか」


「は、はい」


「「?」」


 僕と陽向の意向によってさっき示した道とは反対側の道を進み始める。

 そして、角にぶち当たり、その角をゆっくりと曲がる。


「面白そうなのいるじゃん」


「……あれはッ」

 

 角を曲がった先。


「がぅあ……」

 

 そこにいたのは犬っころ……をさらになんかこう禍々しくしたような存在だった。


「僕ってば魔法とかスキルとか使えないからこれに勝てなそう」


「「「え?」」」


「ん?」

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