第19話

「す、凄いね……二人とも」

 

 あっさりと。

 本当に一瞬で犬っころを瞬殺した僕と陽向を見て、有本さんが驚愕の声を上げる


「亜蓮が強い……というか化け物であるということは知っていたが……陽向もここまで強いとは」

 

 龍魔も有本さんと同じように驚愕の声を上げた。


「ちょっと!化け物扱いは辞めてよ!」


「そ、そうだよ!私は普通だよ!!!」

 

 僕と陽向は龍魔と有本さんの言葉に噛み付いていく。

 化け物だなんて……目立ってしまうではないか!僕の正体は闇に潜む影の実力者……!

 今の僕は世を忍ぶ存在なのだから!


「なんでお前らはそんなに普通であることにこだわるんだ?普通に謎なんだが……」


「普通であることは大切何だよ!普通が一番!」


「うん!うん!……普通が、結局一番だよ……変に誰かと変わったり、誰かを越えようとするより……」

 

 僕の言葉に陽向も強く頷く。


「まぁ、こんな話はどうでも良いんだよ!さっさと他の魔物を倒しに行くよ。一位を狙って動くんだから」

 

 こんなところで無駄話をしている場合では決してない。

 一位を取るために多くの魔物を倒さなくてはいけないのだ……!


「が、頑張ろうだね!」


「うん。頑張ろー!!!」


「おー!!!」


 僕と陽向は一緒にその拳を突き上げて、歓声を上げる。


「「お、おー」」

 

 それに龍魔と有本さんも合わせて、拳を突き上げた。


「「……っ」」

 

 空元気で適当に僕と陽向に合わせている龍魔と有本さん。

 その二人を横目に僕と陽向は一瞬だけ感じた不穏な気配の方へと視線を送っていた……。

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