第17話

「……このまま何もせずに帰らない?」


「同意」


「ふ、二人が望むなら……」


「駄目に決まっているでしょ?というか、ちゃん……ダメ男に騙されている女の子だよ……」

 

 僕と龍魔と陽向。

 そして、僕達同じ班になったクラスメートの少女、有本佐倉と一緒にダンジョンへと潜りに来ていた。


「一応今は授業中なんだから。真面目にやらないと……」


「授業中に寝ている人も多いでしょ?普段の授業でサボるのと、今。ダンジョン遠征でサボるのと。何が違うの?」


「いやっ……その、そ、それを言われると弱いんだけど……」

 

 僕の言葉に対して、普段授業寝ていてサボっている有本さんは目を泳がせる。


「普段僕は授業を受けているからね!この日くらいサボっても良いでしょ?」


「そうだ!そうだ!」


「君は普段の授業でもサボっているでしょ?」


「……う、うるせぇ!テストの順位高いんだから良いだろ!?」


「え?僕より低いじゃん」


「舐めんな。お前は中間試験学年一位だろうか!誰も勝てんわ!全教科満点とか意味わからねぇよ!」

 

「え?」


「……君たちの学力自慢なんて良いんだよ!とりあえず真面目に潜るよ!」


 僕と龍魔の会話を断ち切るかのように有本さんは大きな声を上げる。


「えー。ほら、日本には多数決の原則があるでしょ?やはりそれに従って行動するべきじゃない?」


「なんでよ!多数派が絶対なんておかしいでしょうに!それで良いなら人数の多い男性に女性は一生奴隷になるだけじゃない!」

 

 有本さんの言葉に僕は一瞬だけ固まる。


「ぐう」


「ぐうの音を出さないの!」


「ちゃんと少数意見も尊重してあげるから。多数決しよ!多数決!僕は不真面目にやるで!」

 

 くくく……どうせ少数意見が尊重されることはありえない。

 少数意見は永遠に弱者であり、決して尊重されることはない。数を己の種族の強さとした人類の定めだ。

 人種、LGBT、宗教の自由……一見少数の意見が支持されたように見えるこれらも所詮は多数に認められ、多数派になっただけ。

 絶対に多数に認められない快楽殺人、ロリ、レイプ願望なんかは絶対に尊重されることなどないだろう。


「俺も同じく!」


「もう!勝手にやらないの!ま、真面目な陽向ちゃんはちゃんとやるよね……?


「二人がやらないことを望むなら……!」


「だからそれは駄目な女の子だから!駄目な男に騙されている駄目な女の子だからぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 なんやかんやで真面目にダンジョンに潜ることになった。

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