第16話

「あっ。子供出来た。みんなお金頂戴」


「お前子供出来すぎじゃね?ほら」


「おめでと!」


「本気のトーンで祝福すな。自分の金が奪われとんのやぞ」


「ハッ!……結婚出来ず子供出来ない私そんな私の元に届く結婚の知らせ子供が出来たという知らせ一人の私は虚しさを覚えながら血を吐くような思いで貯めたお金をを支払い結婚は良い子供は良いなどいうマウントを取られて心をすり減らして……あっ。私にはそんな知らせを届けてくれる友達なんて居ないや」


「お前の闇落ちのスイッチわからねぇよ。これが始めてじゃないだろうが。後最後の悲しすぎるわ」


「ほら。陽向の番だよ」


「お構いなしだな」

 

 僕と陽向と龍魔は人生ゲームをして遊んでいた。

 今まで5回やっていて、順位はずっと同じ。僕が一位、龍魔が二位、陽向が三位。この順位が変わることは決してなかった。

 

「うんー」

 

 己の将来についての暗い想像をして、テンションを激しく落とした陽向がルーレットを回す。

 

「あ、6出たー!やったー!」

 

 テンションを落としていた陽向がルーレットで6を引き当ててテンションをバク上げする。

 

「明日はダンジョン遠征だなぁー」


「だねー」

 

 ダンジョン遠征。

 ダンジョンに潜るための冒険者を育てるうちの学園だからこそある授業の一つである。

 内容は実に単純明快。

 四人組を作ってダンジョンに潜って魔物を倒すだけ。

 それだけの簡単な作業だ。


「めんどー」


「だねー」


「え?楽しみじゃないの?……クラスの人たちは楽しみだって話していたけど……」


「冒険者志望なら良いけど、俺は一番家から近くて、入学するためのお金も少なかったからここを選んだだけだからなー」


「あそこが冒険者育成校だなんて知らなかった……」


「お前は論外な?」


「ひどい!」

 

 僕は龍魔のあんまりな言い草に頬を膨らませた。

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