第15話

「ってぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええ!?何しているんだッ!?」

 

 僕のことを普通じゃないなんて言う失礼なことを話す龍魔は大きな声を上げて、何かせっせと縄を用意していた。


「止めないでください!これは……ッ!これは……ッ!必要なことなのですッ!」


「馬鹿言ってんじゃねぇよ!どんなことで悩んでも当人の自由だが死ぬことだけは駄目だ!死んだら何もかもが終わっちまうんだよ!」


 なんか龍魔と陽向が仲良く戦い始める。

 プロレスごっこかな……?プロレスごっこの最中に龍魔は何を言っているの?


「え?なんで?」


「おぃぃぃぃぃぃ!?自殺くらい止めようぜぇ!?」


「……自殺?なんでそんな話しているの?別に陽向は縄で遊んでいるだけでしょ?」


「そこ!?お前の理解しているところそこ!?そこで停滞しているのか!?嘘だろ!?こいつはこの縄を使って死のうとしているんだよ!」


「えぇ!?駄目だよ!命は大切にしないと!」

 

 僕は陽向から手に持っていた縄をサクッと奪ってしまう。


「あっ……」


「全く。命は大切にしないと駄目なんだよ!」


「……もう嫌だ、こいつら……」

 

「……うぅ」

 

 疲れたようにうなだれる龍魔と何故かわからないけどうなだれる陽向。


「全く。人間関係について考えるのが悪いとは言わないが……こいつについて考えても無駄だから辞めておくのをおすすめするぞ。全て無駄だ。こいつに普通の感性はないからな。お前がどんな対応をしても嫌われることはないよ」


「嘘だ!絶対に……私のことを気持ち悪いって思っています!絶対です!


「おい、お前はそんなことを思っているのか?」


「ん……?別に。というか僕は人のことを気持ち悪いとは思わないけど?」


「え?で、でも私は距離感バグってて……」


「ん?別に僕は陽向がしたいことであれば付き合うよ?どうせ暇だし。暇な時じゃなかったら遊ばないけど」


「え?あれで、良いの?」


「うん。別に構わないけど?みんな同じだったらつまらないでしょ?」


「ぉお……」

 

 僕の言葉を聞いて陽向はその表情を輝かせて、笑みを浮かべる。


「とはいえ、あの距離感で近づいたら大体の人が気持ち悪がるか、邪な目でお前を見ているだけだが……」

 

 龍魔は陽向のきれいな顔に視線を送る。

 

「邪な目!?変態ッ!?」

 

 そんな龍魔に対して陽向は頬を真っ赤にして……そのまま龍魔のことをドロップキックで吹き飛ばした。


「はぅ!?理不尽ッ!?」

 

「女の子に邪な目を向けたら駄目だよね。うん」

 

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