第5話
太陽が傾き、赤い空が映し出される中。
「ふふふ……帰ったらとりあえずはいつもの日課をして……」
僕は頭の中をゲームのことで支配させ、帰り道を歩く。
今、住んでいる家は高校から近く、徒歩で帰れるのだ。
「あ、あの!」
僕の後ろから陽向の声が聞こえてくる。
「ん?」
僕は後ろを振り向き、後ろにいる陽向のことを見る。
陽向ってば、たくさんのクラスメートに囲まれていたけど……話は終わったのかな?
「あっ……い、一緒に帰って良い!?」
「ん?良いよ」
僕は陽向の申し出を僕は受け入れる。
「ほんと!」
お昼の時と同じように、陽向はぱぁーっと表情を輝かせ、大慌てで僕の隣へとやってくる。
「僕の家はこっちなんだけど、陽向の方向とあっている?」
僕は自分の帰り道を手で示し、尋ねる。
「うん!あってる!大丈夫!」
陽向は僕の言葉に元気よく頷く。
「そっか、なら良かった。それじゃあ一緒に帰ろうか」
「うん!」
陽向は僕の言葉に元気よく頷く。
僕と陽向はゆっくりと歩き始めた。
ダラダラと会話をしながら。
■■■■■
「じゃあ、僕はここだから」
一つのマンションにたどり着いた僕は足を止めて、陽向に告げる。
「あぁ……そ、そう」
何故か落ち込んでいる陽向に首を傾げつつも、口を開く。
「じゃあ、バイバイ。またあしたね」
「ッ!はい!またあした!」
何故か落ち込んでいた陽向は僕の言葉を聞いて急にテンションを取り戻し、元気よく挨拶を返してくれる。
……情緒不安定かな?
「そ、それじゃあ……私はこっちだから」
陽向はそう言って歩き始めた。
さっき通ってきた道を。
「え……?」
あれが帰り道じゃなかったの?
僕ってばこっちが帰り道であっているか尋ねたよね……?なんで戻っているの?曲がるべきところ、曲がらなかったの?
プルルルルル
僕が逆走して帰ろうとする陽向に驚いていたその瞬間。
スマホの音が鳴り響く。僕のスマホではない。
「はい。もしもし」
陽向はガラケーを取り出し……ガラケーッ!?
僕はもはや骨董品と言っても良いようなガラケーを取り出した陽向に驚愕の視線を送る。
「はい……はい、はい……えっ!?わかりました!すぐに向かいます!」
僕が驚愕している間に陽向は電話を終え、ガラケーをバックの中へと仕舞う。
そして、陽向は切羽詰まったような表情を浮かべて走り出した。
魔法を使って自分の気配を消し、全力で。
「へぇー」
なんか面白そうなことが起こる予感!
僕はこっそりと陽向の後を追った。
勇者が慌てて、自分の気配を消して向かう場所とか絶対に面白いよね!
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