第6話
大きな通りから、裏路地に。
裏路地から、下水道に。
下水道から、既に踏破されたダンジョンに。
既に踏破されたダンジョンから、良くわからないところに。
「どこ……?ここ」
陽向を追ってきた僕は……迷子になってしまっていた。
「おかしい……ちゃんと陽向を追いかけてきたはずなのに……いつの間にか見失っちゃった……」
ここは暗い廊下。
ライトはなく、窓はなく、物はない。
何もないただただ暗い廊下。
僕はその廊下をゆっくりと歩く。
「どうしよう……」
1kmも進めばこの廊下を抜けることがわかっているんだけど……その先の部屋に人の気配はないし、廊下を戻ったとしてもそこにあるのはマグマなのだ。
僕はマグマか上がってこの廊下に来たし……。
着た道を戻ろうにも、マグマのところまでどうやって来たのかわからないし。
ちょうちょうを追いかけてきたから……。
「とりあえず突き当たりまで行ってみるかぁ」
僕は地面を軽く蹴り、1kmを一瞬で詰める。
「んー。何ここ?」
突き当たりにあった部屋。
僕はそこを見渡して首を傾げる。
「……何ここ?」
そして、もう一度、首を傾げる。
この部屋はどこかの実験室のようなところだった。
壁一面の占める棚には多くの薬品、実験器具が置かれていて、部屋の中心には色々なチューブに繋がれている謎の玉が置かれている。
謎の玉。
……あれ?これってばダンジョンコアじゃない?
なんかよくわからないものが混ざっているけど、ダンジョンコアのような気がする。
ダンジョンコア。
それは世界に出来たダンジョンの核。
これを壊せばダンジョンは崩壊し、元の姿へと戻ることになる。
まぁ……普通は壊せないんだけどね……というか、動かす事もできないはずなんだけど、なんでこんなところに置かれているの?
「おー。なんかきれい」
真っ白な玉。
時折、紅が浮かび上がってくる謎の玉。
「よいしょ」
改造ダンジョンコア。
僕はそれに触れる。
「……?」
触れたその瞬間。
ほんの僅かな力が僕の方へと流れ込んでくる。
「おー。なにこれ。すごい」
力が流れ込んでくる感覚に感性の声を上げる。
なんかこう、結構気持ちいい。
「はぅわー」
マッサージみたいな感覚だ。
ピシッ
その瞬間。
改造ダンジョンコアにヒビが入る。
ピシピシ……
そして、そのヒビはどんどん大きくなっていく。
「あれ?」
僕はヒビの入った改造ダンジョンコアを見て頬を引きつらせる。
パリンッ。
改造ダンジョンコアが大きな音を立てて割れる。
「あっ……」
僕は割れてしまった改造ダンジョンコアを見て呆然と声を漏らした。
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