第4話 だろう?

何でも無い

いつもと同じありふれた夕暮れ

駅へと吸いこまれていく男 女


後ろ姿見ていると

なんだか腹が立つんだよ


早く帰りたい 急がなくちゃ

体は疲れていなるのに

頭の中では確かに誰かを想い

帰って行く


俺はさ

心待ちにされたことなんか

無いから

判らねぇけど


例えば

出がけに喧嘩したとしたら


どんな想いが 

どんな言葉が

今溢れてるのだろうか


そこに待っているって

必ずそこに帰ることを

疑いもせずいられるから


この後の事を当たり前のように

思い描ける 


すげぇよ

奇跡か?


怖いよ

奇跡なんてあるわけないんだから


そうだろう?

おまえは一生傍にいると言ったけど


無理な話しだった


だから嫌なんだ

だから怖いんだ


今まで俺が欲したもの

心底欲したものは

素通りしていった

俺などには目もくれず


なぁおまえ

信じてくれるか


俺が当たり前ように

おまえの元に帰る事を


待っていてくれるか……

それなら

俺は

走るだけだ




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