第16話 農業

結城はカレスさんが持ち込んだ食料に穀物が多くあることを確認した。とても三人で処理できる量ではなかったため一部栽培を試みることにした。結城はリザードマンの魔石をホムンクルス化し、畑仕事をすること。収穫できるものを私へ持ってくること。を命令した。リザードマンのホムンクルスはすぐに穀物の一部を持って山を下り始めた。ちなみに山の南側が村、西側が平原、北川が国境、東側が森となっている。


ホムンクルス達が何度か根野菜や穀物を持っていくので作業の様子が気になり三人でホムンクルスの後を着いていくことにした。到着するとホムンクルス達は手で畑を耕し、穀物や野菜を植えていっている。流石に水やりは村からバケツを拝借したのだろう。それを使っていたが、これは農作業の道具やため池を作るなど準備を整えないとせっかくの作物が枯れてしまうかもしれないと結城は思うのであった。


村によって農作業の道具を探してからまた山に登る。ホムンクルス達は農作業の道具を見つけると畑に持って行った。目論見が成功してほっとする結城であったが次の瞬間驚きに代わる。東側から帰還したホムンクルスが2mはあろうかという豹を持って帰ってきたのだ。結城たち三人は豹を優先して解体するとやはり心臓部分に魔石があった。


結城は早速ホムンクルス化し、畑に必要なサイズのため池を畑の近くに作ること。畑の周囲を警戒し、収穫物を盗もうとするものを捕まえること。を命令した。これで食料も自給自足ができるめどが立ったところでその日は山を下りた。


次の日も山を登ると、ホムンクルスが私の前を走り出す。目の前には兵士の軍団が待ち構えていた。結城はデライトとアリスを引き連れて山を下り始める。兵士たちは初め山になっている魔物の死体から魔石を取り出していたが私を見つけると標的を私に変えていた。ゴブリンキングのホムンクルスが反応していたことから私に殺意を向けていたのだろう。私へと向かってくる兵士はホムンクルスによって殺されていく。そうして山は戦場となった。


逃げ切った結城はホムンクルスの数を確認する。

スライム:14038  :スライムの魔石を運んでくること

ゴブリン:13387  :死体を山に運んでくること

角兎  :10     :野草を取ってくること

吸血蝙蝠:5      :渇いた枝を持ってくること

森猫  :400    :ゴブリンを殺すこと

ホブゴブリン:20   :森猫を殺すこと

森狼  :6      :サハギンを殺すこと

サハギン:40      :落ちている道具を拾ってくること

森鷹  :8       :監視している者をとらえること

ゴブリンキング:4    :殺意を持つものをとらえること

リザードマン :20   :畑仕事をすること

森豹  :1       :畑の警戒をすること


数分間ホムンクルスの数を眺めていたが、スライムとゴブリンの数が少しずつ減っている以外には変化がなかった。その変化も数分が経つとなくなった。それを確認して山を登るとそこは死体があちらこちらに散らばる戦場の後だった。この中でいつもの作業をする気にはなれなかったが、我慢して作業することにした。アリスとデライトは流石に顔の血の気が引いていたため作業はさせず風通しの良いところで休憩させていた。


人間の死体の山を片付けるまでに四日かかった。

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