第12話 商人
デライト達が戻ってきて、三日が経ちまた商売に行く許可を出した。今度はサハギンのホムンクルスが台車を持って帰ってきたため、それに魔物の素材を満杯に載せて出発していった。
結城は変わらず山で死体の処理だ。時折人の死体が混じってくるが、ほとんどは魔物の死体になっていた。ホムンクルスにしていない魔物でもいないかと探しながらも処理を進めていくが、なかなか見つからない。死体の山は増えていく一方のためゴブリンの王様の魔石を使うことにした。命令は、私へ殺意を持つものをとらえること。死体から魔石を抜き取り窪みに落とすこと。とした。これで命令権の残っている魔石は使い切ってしまった。ホムンクルス達が新しい魔物を討伐してくれることを祈るばかりだ。
さらに三日が経ってデライト達が一人の商人をつれて帰ってきた。その商人は私の横にある死体の山を見て驚いていたが自分が見つめられていることに気が付きいそいそと挨拶をし始めた。
「私は主に魔物の素材を販売しているカレスというものです。村に仕入れに来ている時にデライト君達と出会いまして大量の魔物の素材を取引できると伺いついてこさせていただきました」
「初めまして。私は結城です。魔物の素材は好きなだけ持って行ってください。ただし、食料と生活用品との物々交換でお願いします」
「今は物々交換できる商品がないのですが。お金ではいけませんか?」
そこにデライトが間に入る
「お金は村で使うには十分な金額を頂きました」
「であればお金は不要です。しかし台車が空いたまま帰ってもらうのも申し訳ないので、積めるだけの素材を積んでいって構いません。料金の先払いです」
「よろしいのですか?これだけの魔物の素材があれば一財産にはなりますよ」
「お構いなく。裏切られたとしてもこの程度であれば数日あれば戻ってきますので」
「ではありがたく預からせていただきます。商品は別の人間に持たせますので」
「それはやめた方がいいかもしれません。私に殺意を持ったり、ホムンクルス達に害を与えたものは殺されると思いますので」
そう言うとご冗談をという顔で私を見る。私はいたって真面目なので表情に変化はない。カレスさんは次にデライト達を見るがデライト達もいたって真面目な表情で一回頷いた。それでカレスさんは本気であると分かってくれたようだ。
「私がお持ちすることにします」
カレスさんが納得してくれたところで結城は大事なことを思い出す。
「物々交換の代金ですが、魔石を追加していただけませんか。できれば珍しいもので」
「そういえば魔物の素材のなかで魔石は売りに出されていませんでしたな。分かりました次回お持ちします」
そう言ってカレスさんは台車いっぱいに荷物を積んで帰っていった。
デライトは台車いっぱいの荷物をみせて話す。
「今回はカレスさんが結構な値段で魔物の素材を買ってくれたのでこれだけの食料と塩を買ってくることができました」
デライトは満足げな表情だ。
次にアリスが話す
「以前話したリザードマンだけど、討伐隊が組まれたそうです。でも返り討ちにあったみたいで近くの村がリザードマンに滅ぼされたって噂になっていました」
「最後に私ね。前に残していた王冠をかぶったゴブリンの魔石を使ってホムンクルスを作成したわ。命令は私に殺意を持つものをとらえること。死体の処理を手伝ってもらうこと。の2つね。もしこのホムンクルスがとらえようとしたら反撃しないで捕まること。でないと他のホムンクルスに殺されちゃうからね。気をつけて」
デライトとアリスを何度も頷いていた。
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