第7話 商人の卵

結城は倒れている二人の子供を近くの家まで運び込んだ。ゴブリンのホムンクルスが回収していないということは死んでいないということだと判断したためだ。念のため呼吸と心音も確認した。運び込んでいる途中でお腹の音が鳴っていたため食料の準備をしておく。兎肉と野草のスープだ。完成すると子供達はモゾモゾと動き始めた。


目覚めた子供達にスープを渡すとガッツいて食べようとするが私がゆっくり食べるように言うと落ち着いて食べ始めた。食べながら話を聞くとどうやらこの子達は近くの村で口減らしで捨てられたらしい。結城はちょうど人材が欲しかったところなので子供達に商談を持ち込む。

「私の名前はゆうき。一応勇者としてこの世界に召喚されたわ。だけどこのことは内緒ね。あなたたちは?」


「僕はデライト、こっちは妹のアリス。助けてくれてありがとうございます」


「デライトとアリスね。実はお願いがあるんだけど、ここには実は塩なんかの物資が足りていないのよ。それで二人には隣の村に行って商売をしてほしいのだけどどうかな?」


「僕達はお金を持っていませんよ。それに子供だから商品を売るにしても買うにしても騙されると思います」


「騙されてもいいからやってみてくれないかな?商品はこの辺りの空き家にあるもので使えそうなものは何でも持って行っていいから。ただ一軒だけ人の住んでいる家があるからそこには入らないようにね。あと私に近づいてきている子達、ホムンクルスなんだけど絶対に攻撃しないで。そうしないとあなたたち殺されちゃうから」


デライトとアリスは驚いた顔をしながらも首を縦にブンブンと振っている。

「危害を加えなければ逆に何もしてこないはずよ。もし誰かに襲われそうになったら近くにいるホムンクルスをおとりにして逃げなさい。だから近くにホムンクルスがいない土地には商売に行かないようにね」


「分かりました。で僕達は何を買ってくればいいんでしょうか?」


「優先するのは食料かな。塩なんかも含めてね。後は生活物資で必要だと思うものは買ってきてちょうだい。こちらから売るのは家の中の物の後は魔物の素材なんかかな」


「分かりました。ではさ「待ちなさい」っそく」

「まだあなた達体力が回復していないでしょう。私に魔物の素材なんかを教えるついでに数日ここで体力の回復に努めなさい」


「分かりました」


「まずは少し休んだ後にあの山に登るわよ。あそこに魔物の死体が集めてあるの」


そういって一同は休憩を取った後、山の頂上を目指して登る。


登り切った後、デライトとアリスの二人は驚いていた。そのゴブリンの死体の多さに。一方結城は。

「あれ。またゴブリンが増えてるな。まだダンジョン攻略とはいかないか」

と呑気に独り言をつぶやいていた。

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