第3話 生き残り

人の死体にも慣れ町を見て歩く。すると村の離れに一軒だけ扉の開かれていない家があることに気づく。結城は駆け寄り扉をノックした。すると中から


「何者じゃ?」

と声が聞こえた。

「今日こちらに連れてこられた結城というものです」

と答えると扉が開いた。こちらを見た老人は驚いていた。


「まさか、ほとんど傷も追わずにここまで来れる女の子がいたとわの。それで町での騒動はそなたが犯人かの?」


「騒動とは何のことでしょうか?」

結城は町から逃げていたので分からなかったが、急に子供が大勢現れ奴隷商とつながりのある町の人が騒ぎ始めたらしい。一人は捕まえることができ、早速売りに行く準備をしている時にその大勢の子供に襲われて死んでしまったらしい。そして混乱が伝播しこの街から大勢の人が逃げ出したとのことだ。ここまで説明があやふやなのは老人がこの家から出ずに聞こえてきた内容からの推測だからだ。


「その騒動の犯人は私で間違いないです」


「そうか。それでそなたは儂を殺すのか?」


「いいえ。私たちに危害を加えなければ殺すことはありません。その小さな子供というのは私が作り出したホムンクルスです。そのホムンクルスには私たちに危害を加えたものを殺すという命令をしています」


そう言った時に、スライムの魔石を持ったホムンクルスが現れた。お爺さんは驚いたがホムンクルスは結城に魔石を渡すとどこかへ去っていった。


「本当に危害を加えなければ襲ってはこないようじゃな。それでその運んできたものはスライムの魔石かの?」


「そうです。私の能力は魔石が必要なのでホムンクルスに集めてもらっています」


「そうか。なら町の死体を東の山奥にいるクイーンスライムに食べさせるといい。あれは動けはしないがスライムを生み出す。栄養さえ与えれば無限にスライムをうみだすじゃろ。儂は隠居したいただの爺じゃ。この町に住むのは構わんがあまりかかわりにならんでくれ」


「では最後に質問を。ここの近くにダンジョンはありませんか?」


「先ほど言った東の山にゴブリンのダンジョンがある」

そう言ってお爺さんは扉を閉めてしまった。


結城は東の山を目指す前に空き家となってしまった家から食料を拝借することにした。早くもこの世界に慣れてきてしまっている結城であった。食料を調達し終えると東の山へ向かう。大した距離はなく30分程度で着いてしまった。頂上付近には大きな窪みがあり、そこに巨大なスライムがいた。これがクイーンスライムだろう。周りに大量のスライムがいるためかホムンクルス達が魔石を次々に運んでくる。


スライム:587


山を散策していると小さな洞窟を見つけその付近にゴブリンと思われる死体が転がっていた。ホムンクルスの死体はない。そういえば町で女の人が刺したホムンクルスもいつの間にか死体が消えていたことを思い出す。ホムンクルスの死体は残らないのだと結論付けた。


結城は町から持ってきたナイフでゴブリンの胸を裂く。すると魔石が現れた。魔石を手に取りホムンクルス作成と念じると身長は変わらないが体色が緑色のホムンクルスが現れた。


そして頭の中に声が聞こえる。

「ホムンクルスには命令を2つまで与えることができます」

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