第2話 最初の村

そして私は開拓村に送られることとなった。なぜ殺されなかったかというと昔勇者召喚を行って同じように魔力のない人間がいたらしくその国はその人を殺したらしい。するとその後、その国では勇者召喚ができなくなったとのことだ。まあ死なないなら何とかなるかと前向きに生きることにした結城であった。



城から追い出されて1週間、ようやく開拓村に到着した。開拓村の人たちは私を連れてきた兵士をみてビクビク震えている。増税におびえているのだろうかと勘繰っていたら兵士から声が告げる。

「この者は此度の勇者召喚にて召喚された錬生師である。魔力がないためこの開拓村で保護してもらいたい。多少の力仕事くらいはできるであろうから食料等を分けてやってくれ」

そう言うとここまで警護してくれた兵士たちは全員帰っていった。そしておびえていた男は私を見てニタニタと笑っている。女も私のことをさげすんだ目で見つめていた。そこで私は悟った。ここにいてはいけないと。先ほどおびえていたのは増税なんかではなくこの人たちは犯罪者で処罰されることを恐れていたのではないかと。結城は森の中へ逃げていった。


「まだ遠くに行ってないはずだ。さがせ」

私は開拓村の人たちに追いかけられていた。今は木の陰に隠れることで難を逃れているがいつ見つかるかもわからない。そんな状況で急に右手に痛みが走る。右手を見ると半透明のアメーバ状のものが私の右手に絡みついていた。私は右手を引き抜くと同時にアメーバの中にある宝石のようなものをつかみ取ってしまった。するとアメーバはとろけて消えてしまった。そして頭の中に声が流れる。


「スライムの魔石、ホムンクルスを生成しますか?」

私は頭の中でイエスと答えた。すると魔石と呼ばれたものが形を変え膨張し120cm程度の身長の子供に変化した。すごいと思っているとまた頭の中に声が聞こえる。


「ホムンクルスには命令を2つまで与えることができます」

私たちに危害を加えたものを殺すこと。スライムの魔石を集めてくることの2つを命令し、また森に潜む。ホムンクルス達の数は分かるようで頭の中に

スライム:1

と表示されている。少し時間がたつとホムンクルスが魔石を1つ持って帰ってきた。私はその魔石を手に取りまたホムンクルスを作成する。そんなことを場所を移動しながら100回ほど繰り返した。

スライム:90


数が合わないのは何かにホムンクルスが殺されたためだろう。だが今のところはそのホムンクルスが戦う場所に遭遇したことはない。きっと遠くの出来事だろうと思っていた。


スライム:268


ホムンクルス達がどんどん増えていくのでスライムの魔石が結城のもとへ集まってくる。これだけいれば町に戻っても簡単に襲われることはないだろうと踏んで結城は町に戻ることにした。


町に戻ると一人の男性が死んでいた。その光景を見て結城は吐いてしまう。人の死体を初めて見たのだ。震えが止まらなかった。四つん這いになり吐きながらも落ち着こうとしていると一人の女性が刃物を持って近づいてくる。その女性は近くのホムンクルスを攻撃した。すると周りからどんどんホムンクルスが集まっていき、女性を押しつぶしていく。結城はその光景を見てまた吐いてしまった。結城が落ち着くころには女性はすでに息絶えていた。町に他の住人はいないのようで家の玄関は開け広げたまま放置されている。結城はこの世界でたった一人になった気がした。

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