第7話 9年間の結晶
取りに行ってきた古い荷物を整理していた。すると絵画が2枚でてきた。1枚はイソップ物語で桶の水を飲むためにたくさんの石をいれて水かさを増やして水を飲む物語を描きていた。もう1枚は……女の子だ。ちぃ―ちゃんに間違いなかった。まるで覚えてなかった。この絵画が僕の思い出に千鶴を連れてきたのかもしれない。でもなぜ?
「僕は千鶴を愛していたのかもしれない」
中学三年生になると進路が話題になる。頭のいいやつが行く高校、普通のやつが行く高校(僕はこれ)、頭が悪いやつがいく高校
の3パタ―ンに区分されるが、あと一つお金持ちがいく高校がある。この現象は小学六年生でも見られた。
千鶴はお金持ちがいく高校にいく。これはこれまでの小学、中学9年間を思い出として固めて動かないようにする作業でもあったと思う。
慌ただしさのなかで訃報があった。
小学一年生のときなお世話ななった青木先生がお亡くなりなったのだ。クラス全員で葬儀に参列した。みんな泣いていた。僕は学級委員だったのでがまんした。千鶴も我慢していた。
青木先生には国語とか算数の教科がなかった。みんなを運動場の連れていき、遊びながらすべての教科を教えた。人として教師として素晴らし方であった。
葬儀も終わり、列が乱れた時に千鶴は僕に抱き着いた。そして声を上げて泣いた。僕はどうしてよいのかわからなかったが強く抱きしめた。泣き止むまでずっと……
「徹君、私、私、いまでもあなたがすき、すきです!」
(ぼくには好きな人がいる、でも……)
「僕も好きだよ!」
「卒業まであまり時間がない。残り時間を楽しくすごそう」
「うん。わかった。山田君にはふられちゃたから!」
「え?!」
「さてはおまえ、僕に乗り換えたな?」
「アハハ、正解」
♡卒業式
机の引き出しにチョコレートがはいったハ―ト型のカプセルが入っていた。
「徹君、卒業おめでとう。好きな人がいるのにわたしとつきあってくれてありがとう。楽しかったなあ 千鶴」と書かれてあった。
「違うんだ!」
「本当に僕は」
「君が好なんだ」
「それが9年かかってやっとわかったんだよ!」
徹は千鶴を探しに教室を飛び出していった。
過去の思い出も形を変えて現代に蘇る。
その想い出から人生を形作ることによって 生きていかないといけない場合もある。
「僕は千鶴がすきだったのは間違いない。これでやっとわかったよ」
「……斜に構えた先にはち―ちゃんがいたのがね……」
おわり
涙のち恋【女の子はみんなきれいになる】 嶋 徹 @t02190219
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