大宇宙を創造し、そして統べる我輩の深き悩み。もちろん我輩が創造した人類如きには決して解決できない悩みなのだけれど、ちょっと聞いてくれないか2

ぺんぺん草

第1話 そして救済の時がきた!

我輩は君たちが神と呼ぶ存在である。この宇宙の創造主と考えてくれたまえ。


我輩は随分と長いこと生きてきた。長過ぎてちょいと高等な数学表現が必要なほどに。


我輩の今の歳をざっくり言うならば((((1000!)!)!)!)!歳と言ったところか。(!とは階乗のことね)


もっとも我輩は不老不死である故に、年齢など、もはや意味をなさない。無限に比べればこれまでの我輩の歳など塵ほどでもない。


そんな我輩も最近は悩みがある。


困った事に、やる事がなくなったのである。ガンジス川の砂も数え尽くした。ゴルフで連続2758回ホールインワンを達成した。自分だけの言語を作ってみたりもした。無機質な地球に生命なんてものも作ってみた。銀河系を逆回転させて遊んだりもした。無数の宇宙が生まれて消えてゆく様も見尽くした。


だがもうなにもかも嫌になった。

正直言って誰か助けて欲しい。

死にたいわけじゃないが、これ以上退屈に生きたくもない。



神様、どうか私を永劫の退屈から救ってくださいまし。



ああそうだ。確かに我輩は神であり、あらゆる宇宙の創造主である。円周率を定めたのも、光速度を定めたのも我輩である。地球の生き物たちに罰を与えることだって容易い。だがそれがなんだ。なんになる。


こんな無限に続く退屈など耐えられるものか。


いずれ我輩を救う真の神が現れるはず。その日がくるまで我輩は毎日お祈りを欠かすまい。敬虔に生きるのだ。




……おや?不意に訪れたこの穏やかな感覚はなんだろうか。もしやこれは「眠さ」というものだろうか?


もちろん「眠さ」とは我輩が生命に与えた感覚であるが、我輩自身が直接に体験するのは初めてである。


もしや、もしや!?


真の神が我輩の話を聞きつけて救済しようとしてくれてるのではないか。


おお、忽然と眩い光球が現れた!恒星の如き巨大な輝き。もしやこれこそが真の神のお姿では……。


ああやはり。


やはりそうでしたか。貴方様こそ、真の神様。待ちわびましたぞ!


ああ良かった、我輩の待ちに待った瞬間が……く……


















真の神

「読者の皆様、初めまして。私が『真の神』……。いえ、神が『真の神』と呼びし者です。彼を創造した者でもあります。今回は高次なる387926次元時空から貴方達の4次元時空に降りてきました。


もちろん神を救済するために。


不老不死の神は……安らぎの世界、つまり貴方達が「天国」と呼ぶ次なる世界へと連れて行くことにしました。


神は死んだのかって?いえいえ違います。ですがこれは貴方達の価値観では計れないお話ですので省略いたしますね。


ええ。もちろん私は「神」の想像すら及ばない大いなる存在です。「時空」を含めて全ての概念は私の創造物に過ぎません。



私は無限の過去から存在し、4次元時空など超越し、大宇宙の時間を操ることはもちろん因果関係すら自由自在に変更できます。


つまり神も含めて、貴方達の運命というものは全て私が決定しているわけです。ですから……退屈ですよ。己の消滅を願うほどにね。この際、誰かが私を無限に続く退屈から救済してくれるなら助かります。ですがこの愚痴は繰り返しになるので、もういいでしょう。


あら、私の創造神ですか?つまり私を超える「真の真の神」はいないのかって?


当然、気になりますよね。


私はあらゆる時空を把握しているのですが、そのような存在は知りません……。


ですが、そのような素晴らしき「概念すら超越せし神」がどこかいらっしゃるのなら、私如きに自分の存在を認識させないことも簡単な話でしょう?


だから「真の真の神」が存在するかどうかは「真の神」である私にも分かりません。しかし貴方達の中には気づいておられる方が……おっと。口が滑りました。



最後に私の姿をお教えしましょうか。神には恒星の如き光球として映りましたが、人間にはずっと小さい理想の異性として、その目に映ることでしょう。


おや、貴方には横ピースしている黒髪のキュートな女子高生に見えてます?ふふ。


もちろん、これも私の決めた筋書きなのです。何しろ真の神ですからね?」

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大宇宙を創造し、そして統べる我輩の深き悩み。もちろん我輩が創造した人類如きには決して解決できない悩みなのだけれど、ちょっと聞いてくれないか2 ぺんぺん草 @dcv7szjaqpvnrug43sjagw7

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