第5話:魔女の遺産
「行きましょうか、グレイス」
「はい」
エントランスを出たところで振り返る
腰のホルスターから銃を抜いてグレイスの頭に向ける
「教えてほしいことがあるの」
「はい、何でしょうか?」
さすがゴーレムといったところか、動揺しているということはなさそうだった。
「あなたの頭には何が入っているの?」
「・・・」
「答えて」
「ははは」
笑っている?
「失礼しました、おもしろいことを聞くのですね」
「おもしろい?」
「いえ、質問の意味が・・・何が入っていると思ったのですか?・・・もしかして?」
「違うの?」
「さぁ、私にはわかりません」
「わからない?」
「そこの情報にたどり着けなくなっているようなんですよね・・・」
「・・・なるほど」
「どうしますか?」
銃をおろす。
「・・・考え中」
「そういえば先ほどの質問の答えを訂正しないといけませんね」
「?」
「私は笑えるようです」
「・・・あぁ・・・そうだね」
「あなたの考えたことはこうでしょう、「ミヤビの脳」をデバイスにして私の頭に入れてあると」
「・・・」
「可能性はないとは言えないかもしれませんね」
「・・・」
「冗談です、私にはミヤビ様の記憶も思考も保存されていません」
「そう、あとはあなたの永久機関は?」
「これは偶然できたみたいですね、私の中に「リサ様の心臓」が入っていることはないでしょう、あの施設では生体を機械に組み込んで生かし続ける研究はしていません」
「・・・偶然ね・・・それはどこかの研究機関が生体実験でもやっているような言い方に聞こえるけれど」
「そうですか?」
「まぁね・・・わからないか・・・」
「だからリサ様は魔法と言っていました」
「科学で証明できないことを魔法というしかないってか・・・」
「・・・そうですね、機械の私のいうことでもありませんが・・・」
「ははは、そうね・・・行きましょうグレイス」
「はい」
車に乗り込む
「リズ、どう報告するつもりですか?」
「・・・わかってるんだ」
「はい」
「・・・考え中・・・」
「調査が仕事ですか?」
「まぁ、依頼があればね・・・・どちらかというと探偵みたいなものかな」
「探偵?ですか・・・」
頭の中で検索を始めたらしい
「表向きはそうなってる・・・」
「表向きは?・・・裏があるんですか?」
「ん?・・・知りたい?」
「はい」
「本当の目的は魔女狩り」
「・・・はぁ?」
「魔法使いを探しているの」
「それは笑ったほうがいいですか?」
「そうだね」
「・・・ははは」
「あなたは魔女が残した遺産になるのか・・・」
「なるほど」
「どうしようかな・・・」
「はい?」
「いや、ついてくるならいろいろと準備をしないとな・・・と」
「連れて行ってくれるんですか?」
「そうしようかと思ってる」・・・なんでだろう?
「ありがとう」
「・・・」
「どうかしましたか?」
「いや・・・本当に君は人工知能なのかと考えてみたり・・・」
「さぁ、どうでしょうね」
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