第4話:目的

夜中、クライアントから資料が届く。


リサという名前を検索する


・・・?・・・読めない・・・Lisa・・・漢字で書いてあるのか・・・中国人か日本人か、写真がある


国籍はわからないか・・・私に似ていない・・・


私の家系も元は日本人らしいから・・・ただ似ていない。


小型永久機関の研究・・・人工知能は別のチームか・・・


となると魔法使いはリサか・・・


グレイスを見る・・・何を考えているのだろう?


・・・やはりこの容姿には嫉妬してしまうかな・・・


このゴーレムに自由を指示したら喜んで受け入れるのだろうか?


まてよ・・・このゴーレム(人工知能)は自分で私について行きたいって言ってなかったか?


人工知能の研究チームの情報は・・・無いか・・・一応情報を取り寄せるか・・・


いろいろと都合が良すぎるのが気になる、明日もう一度研究施設を調べてみるしかないか。



グレイスを起こす。


「あなたを作ったのはだれ?」


「リサ様ということになっています」


「そう、人工知能は誰が作ったの?」


「ミヤビという研究者らしいのですが」


・・・ミヤビ・・・検索してみる・・・雅?日本人か・・・意味は優雅・・・


「私が創られた時にはなくなっていたそうです」


「・・・そう」


ミヤビ・・・グレイス・・・まさかね・・・


「研究施設に行くけどあなたも行くでしょう?」


「・・・はい」


朝食をホテルで済ませてマスクをして車に乗る。


ゴーレムがマスクをしているのは無駄でしかないけれど関節がみえなければ人に見えるから


可能な限りは人間を装ってもらうことにした。


研究施設は顔認証で何もなく入れた


グレイスの代わりのゴーレムがエントランスにいたがやはり人間の女性に見えた。


ただ不思議なことに彼女にはケーブルがつながれていた。


「グレイス、あれは?」


「電源供給ですね」


「永久機関はついてないの?」


「あ、あれは私にしか実装されていないんですよ」


「・・・そう・・・なんだ」・・・あれ?


リサの研究室を探して資料を見ようとしたが、研究室がなかった。


・・・抹消されたか?


グレイスの方を見る


「そうなんですよね、ここに私の居場所がなくなってしまって」


「・・・」・・・変だ


納得するのが難しい話だった


人工知能の研究室も同じように見つからなかった


なぜ、世に出れば「すごい発明」になるであろう「永久機関」と「人工知能」の研究室がなくなっている?


目や手足のパーツを作っている部屋があった。


中ではゴーレムが作業している・・・わざわざ人型の人形が研究する必要があるのか?そんな疑問が生まれる。


部屋の壁に写真が飾ってあるのが見えた、歩み寄って眺める集合写真のようで、リサの姿があった。


リサの隣にグレイスが写っている。


「これ、あなただよね、グレイス」


指を指す


「・・・いいえ、私ではありませんね」


「え?・・・でも」


写真の彼女はどことなく笑っている・・・笑う?


グレイスを見る。


表情は最初の見た時のまま


「あなたって笑える?」


「いいえ、表情筋は装備されていません」


「・・・だよね・・・」


誰だ?・・・これがミヤビだとするとなんとなく話がつながるかもしれない。


「私にそっくりですね・・・確かミヤビ様が私のモデルになっていると聞いています。」


「でしょうね」


そして私は気持ちの悪い仮説を考えるしかなくなった。

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