Day 1 WSOP Main Event
WSOPメインイベント。それはポーカープレイヤーの憧れだ。参加費は
トーナメントの開始は昼の11時。前日の夜には登録を済ませてあったので、参加票をもってテーブルに座る。初日の会場はパリスカジノ。30分前には到着したが、会場にはまだ入れない。廊下に座って時間を待つ。
緊張しないように、慣れたルーチンをこなす。落ち着いて目を閉じ、瞑想する。
11時にテーブルへ着く。まだ俺とディーラーしかいない。少し談笑しながら他のプレイヤーを待つ。今日は参加人数が多いため、10人テーブルのようだ。約10分後、全員が席に着き、会場の放送が始まった。
"Dealers, Shuffle and Deal!"
一世一代の大勝負が始まる。
開始時点での持ち点は60,000点。ブラインド
最初のブラインドは100/200にアンティが200。スタック量が多く、ストラクチャーが
そして、メインイベントにはもう一つの特徴がある。それはプレイヤーの質の低さだ。
このトーナメントはお祭りだ。自分の実力に自信のないプレイヤーでも、
開始して約1時間。スタックの増減はない。ただし、ブラインドも上昇していないので、開始時点と変化はない。それでもテーブルの状況は確認できた。
あきらかに強いプレイヤーは1人。
今日の結果は、俺がスティーブを倒せるか否かに掛かっている。
フロップ:K♠6♡2♦
全員がチェックした。ドライなボードでレイザーもチェックだ。おそらく、誰も強いハンドを持っていないのだろう。バックドアでストレートとフラッシュドローがあるので、2,300のポットに1,100をベットした。
UTGのレイザーだけがコールする。他にも99などの弱めなペアを持っている可能性も高い。Kを持っている可能性もあるが、キッカーが弱いと考えられる。ターン以降もプレッシャーをかけ続ければ、フォールドさせられる可能性が高い。
ターン:J♠
かなり良いカードが落ちた。相手はここでプレッシャーをかけられたら、かなりのハンドをフォールドするだろう。また、少し小さめの額でも相手はフォールドしてくれるだろう。1,500をベットする。相手は即コールしてきた。
相手は、ほぼ確実にKを持っている。Qを引けなければあきらめるべきだろう。
リバー:Q♠
ストレートがヒットした。相手は5,000をドンクベット。不可解なプレイだ。ボード上のスートが同じカードはK♠J♠Q♠だ。フロップで相手がコールしてきたハンドでフラッシュが完成する可能性は非常に低い。もし、ボードのKが♠以外だったのならば、相手のトップペアがフラッシュになっている可能性もありうるだろう。しかし、今回は違う。
ここまでを総合すると、俺のストレートはかなりの確率で勝っているように思われる。少し大きめの25,000へレイズを選択した。相手は迷いながらコールした。相手から見ると、俺がストレートやフラッシュを持っているようには思えなかったのだろう。ストレートを見せると相手は「信じられない」とばかりに首を振ってからハンドをマックした。
最初のレベルが終了し、休憩に入った。スタックは85,000。順調にチップを増やすことが出来ている。良い調子だ。
次のレベル。数十分経って、
フロップ:6♦2♦2♡
トップペアがヒットした。しかし6では頼りない。それでも一発打ち、ターン次第ではもう一発打てばかなりのハンドをフォールドさせることが出来るだろう。
2,000をベットして相手はコールした。スティーブはかなり強いプレイヤーである。油断は禁物だ。
ターン:3♣
こちらのレンジに有利なカードが落ちた。ここは継続して相手にプレッシャーをかけるべきだろう。
8,500のポットに対して5,000をベットした。相手は少し悩んでからコールしてきた。おそらくポケットペアを持っているか、フラッシュドローなどが怪しい。
相手は強いプレイヤーだ。リバーでもう一発打っても降ろせない可能性が高いだろう。それでもリバー次第で攻めることは可能だろうし、Aや6が落ちれば大きく稼ぐことも可能だろう。
リバー:J♣
こちらに有利なカードだ。しかし、ここで嫌な予感がした。いくらベットしても相手は99などをフォールドすることはないだろう。ここで打つのは悪手だ。また、俺がチェックして相手がベットしてきたらブラフの可能性が高いだろう。その場合はコールしてブラフキャッチする計画だ。
チャックすると相手もチェックしてくれた。こちらがA♡6♡を見せると相手は8♣8♡を見せて、ポットを取って行った。
惜しい勝負だったように思える。結果は負けてしまったが、スターズプロ相手にも十分張り合えている。この負けはむしろ俺の自信になった。
このレベルが終了し、スタックは84,100。少し減らしてしまったが、まだまだ戦えるだけスタックがある。
次のレベル。K♠5♠で
フロップ:K♣8♦3♦
トップペアがヒットした。しかしバリューを取るのは難しい。相手はこちらのベットに1回はコールできても2回は難しいだろう。また、こちらのキッカーも弱いため、チェックを選択した。
ターン:J♡
相手はまたチェックしてきた。Jや8などからバリューを取ることが出来るかもしれない。また、ドローハンドが出来ている可能性もあるため、相手からバリューを取りやすくなっている。
ポットの約半分である1,000をベットし、相手はコールした。
リバー:6♡
全く関係のないカードが落ちた。相手はまたチェックしてきたので、ここでもバリューベットを打てるだろう。リバーで落ちた6♡は、俺がブラフしてきそうなカードであるため、弱めのハンドでもコールしてくれる可能性が高い。2,500をベットして相手はコールした。Kのトップペアで勝ち。
こんな調子でスタックを増やし続けた。このレベルが終わる頃にスタックは94,900、初日終了時では初期スタックの倍である127,600ものスタックを築き上げることが出来た。
弱い相手が多かったとはいえ、俺のプレイは世界大会でも通用するように思える。
極力リスクを避け、弱いプレイヤーから着実にチップを奪っていく。オールインさえも極力避け、不確定性を減らしていく。そんな風に立ち回り、今日は1回もオールインをすることなく、初期スタックを倍にまで成長させることが出来た。
翌日からは弱いプレイヤーが少し減り、ゲームは難しくなっていくことだろう。しかし、全く不安はない。むしろ、俺は明日が楽しみでしょうがないのだ。
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