Day 2 我慢の日

 Day2が始まる。前日はポーカーをせず、少し遠出してラーメンを食べに行ったり、散歩したりしてゆっくり休むことが出来た。

 現在のスタックはかなり多いほうだ。平均よりもスタックは多く、生き残っている日本人の中でも上位の成績だ。Day1と同様に安全にスタックを増やしていきたいが、ポーカーは何が起こるか分からないゲームである。運が悪くても我慢。心構えを忘れてはいけない。



 Day1と同様に15分前には席へ着く。とりあえず、いつものように目を閉じて精神を落ち着かせる。段々とテーブルは埋まっていき、全員が着席した。今日は人数がかなり少ないようで、Day1の10人テーブルから定員が減り、9人テーブルだ。


 テーブルを見渡す。年寄りのプレイヤーが多い。強そうなプレイヤーが一人もいないことに驚く。Day2になったので強いプレイヤーが多いと思っていたのだが、予想は外れたようだ。これならば、運さえ良ければかなり稼ぐことが出来そうだ。

 スタック量が俺より多いプレイヤーも2人だけだ。これならば、大きなリスクを負うことなく戦うことが出来るだろう。



 開始20分後、BTNでQ♦Q♡が来る。タイト目なUTGからのレイズをコールドコールして、ヘッズアップ。通常QQならリレイズを返すのだが、相手がかなりタイトであること、相手の方がスタックが多いことからコールを選択した。


フロップ:K♡4♣4♠

 相手はチェックしてきた。俺のQQは勝っているように思えるが、相手にワンペアがなければコールは難しいだろう。相手にフリーカードを与えてもA以外は問題ないため、俺もチェックを返す。


ターン:6♣

 相手が3,700のベット。6は問題ないカードで、ブラフの可能性も高いためコールする。


リバー:4♡

 相手はチェックしてきた。ここでバリューベットを打っても良いのだが、ほとんどの場合はコールしてもらえないだろう。チェックを返す。相手はT♣T♡で勝ち。小さな額だが、積み重ねが肝要だ。


 その後のハンドで何度かブラフを試したが、弱いハンドにコールされ続けてしまった。結果、最初の休憩の時点まで、一切スタックを増やすことは出来なかった。

 このテーブルはかなりパッシブなプレイヤーが多いようだ。ブラフよりも薄めのバリューを打っていく方が有効だろう。



 休憩後、少し経ってからBTNでK♡K♠が来た。2,300にオープンして、BBだけがコール。


フロップ:8♦8♡4♣

 BBはかなりの年寄りプレイヤーだ。素直なプレイが特徴で、良いハンドがなければベットをしてこない。また、スロープレイの際にチェックのが大げさな様子を見たことがある。

 この年寄りプレイヤーがチェック。ここで違和感を感じた。彼は通常、を使ってチェックをするのだが、今回は様子が違った。こちらの様子を見つめながら、を使ってチェックを返してきたのだ。

 思い過ごしかも知れないが、危険に思いチェックを返した。


ターン:A♦

 相手から2,400のベットが来た。危険信号だ。相手は素直なプレイヤーだ。Aが落ちたのなら、彼のレンジにポケットペアはないだろう。8かAを持っていると考えるのが自然だ。KKは名残惜しいがフォールドを選択した。プリフロップで2番目に強いハンドでもその後の展開次第では降りなければならないのが、ポーカーの辛い所だ。


 4時間後、テーブル移動になってしまった。スタックはほとんど増えていない。弱いプレイヤーに囲まれていたのだが、運がなく、辛い展開が続いていた。

 ただ、相手のプレイは十分に理解できていた。時間さえあれば稼ぐことが出来ただろうに残念だ。



 移動先のテーブルは強いプレイヤーが多い。1時間程見た限りでも、プロが3人ほどいる。先ほどのテーブルのような素直で弱いプレイヤーは1人しかおらず、最悪のテーブル移動だ。

 特に両隣のプレイヤー達が強く、テーブルを支配している状況だ。少しルース目にレイズを繰り返し、アグレッシブなプレイでポットを奪い続けている。

 俺も負けじと3Betで対抗するのだが、相手のプレイに押されて負けを重ねてしまう。少しづつスタックを増やしては、両隣に取られる。そんな辛い状況が4時間2 level程続いた。



 しかし、不運だけではない。Day2最後のレベルでそれは起こった。


 BTNでK♣K♡が来た。プリフロップにおけるセカンドナッツ2番目に強いハンドだ。テーブルに一人だけいるフィッシュ弱いプレイヤーがUTGからリンプインしてきた。

 このプレイヤーはかなり変なプレイを繰り返している。80%程のハンドをプレイして、奇妙なブラフやルース過ぎるコールをしてスタックを減らし続けている。それでも運が良いのか、70,000程度のスタックは残っている。


 ブラインドは1,000/2,000なので8,000へレイズする。BBが後ろからコール。更にリンプインしたフィッシュが突然のオールインを仕掛けてきた。

 ポット額は21,000に対して70,000のオールインだ。少し過剰気味だが、下手なプレイで先程からスタックを減らしていることを考えるとティルトなのかもしれない。この場合、AKやTTなどのプリフロップで強いがポストフロップで扱いづらいハンドが候補に挙がるだろう。AAも典型的なリンプレイズするハンドだが、彼の様子を見るとどうやら可能性は引くように直感した。

 後ろのBBを追い出す意味でも、俺もオールインを返す。BBはフォールドして、お互いにハンドを開く。UTGのフィッシュはJ♡J♦で勝率は80%ある。

 何事もなく逃げ切り、スタックは200,000を超えた。



 そのまま大きな変化はなく、Day2は終了した。

 今日は我慢の日だった。ほとんどスタックが増えることないまま10時間近くプレイし、最後の最後で大きく勝った。ただ運が良かっただけに思えるかもしれない。しかし、チャンスを待ち続けたとも言えるだろう。

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