祈れば負ける
当然だが、「賭博師は祈らない」というライトノベルを知っているだろうか。俺のお気に入りのライトノベルだ。ギャンブラーの性質が上手く書かれている。その中でも俺が好きなのは、タイトルにもある「賭博師は祈らない」という言葉である。
賭博で生きる人間は祈ってはいけない。「祈る」という行為は未来が不確定であり、自分の力が及ばない状態でのみ行われる。もし賭博で生きているのならば、不確定なことなどない。全ては確率である。自分のベストを尽くし、結果は長期的な期待値でのみ現れるだろう。短期的な結果を求めて祈るという行為は不適切なのだ
だから、祈ってしまった俺が負けるのは必然だった。
それは、またロサンゼルスに帰ってきてから数日後の出来事だった。
フロップ:K♦J♣6♡
トップペアが出来たので150ドルのポットに対して75ドルのベット。2人がコールした。相手がコールしたのは、おおよそ1ペアだろう。ただ、
ターン:Q♠
少し不安なカードだ。ストレートや2ペアが完成するカードである。しかし、この日の俺は200ドルのベットを選択した。相手は2人いるのでベットするべきではない。これはミスプレイだろう。そして、懸念通り400ドルのレイズが返ってきた。単純に考えれば、2ペアやストレートだろう。すぐにフォールドするべき状況だ。
しかし、俺はコールしてしまう。ストレートドローがあるのでコールするべきだと思い込んでしまったのだ。
リバー:A♦
ストレートが完成した。相手からのオールインにコールする。
相手の見せたハンドはATで、ターンの時点でストレートが完成していたのだ。ターン時点で俺の
2時間後、K♦Q♡でBTNから30ドルへレイズ。今回も4人にコールされる。これだけ人数が多い場合は気を付けなければならない。トップペアでも微妙なハンドで、もっと強いハンドが必要となる場合が多いのだ。
フロップ:Q♠5♠2♠
危険なフロップである。プレイヤーが他に4人もいるのでフラッシュが完成している可能性がある。それでも♠1枚がコールしてくれると思い、150ドルのポットに100ドルをベットする。
すると400ドルのオールインが返ってきた。即フォールドするべきである。相手のハンドはフラッシュの可能性が一番高く、たとえブラフだとしても♠を持っているのだろう。俺の
案の定、相手の開いたハンドはJ♠4♠のフラッシュ。ターン、リバーで逆転することも出来ず430ドルの負けである。
数ハンド後、今度はSBで5♡4♡をコールし、4人でフロップへ進む。このハンドもポジションがない状態では降りたほうが良いのかもしれないが、この日は何も考えずにコールしてしまった。
フロップ:K♡8♡6♠
フラッシュとストレートのドローが出来た。そこそこ強いハンドである。チャックすると
さて、俺のアクションだ。非常に難しい状況である。ドローはそこそこの強さがある。しかし、他のプレイヤーにフラッシュドローがあった場合は
しかし、俺はコールしてしまった。相手にフラッシュドローがなく、かつドローを引ける可能性に賭けてしまったのだ。50ドルのベットしたプレイヤーが追加で50ドルのオールイン。50ドル程度のレイズではフォールドできないのでコールし、3人でターンへ進む。
ターン:9♦
ほぼ関係のないカードが落ちた。チャックするとBTNが600ドルのオールイン。
どう考えてもフォールドだ。ポットには700ドル程度。必要な勝率は約30%で、俺のハンドの勝率は最高でも27%である。
またもや、俺はコールしてしまう。ドローが引けることを祈ってしまった。
出てきたハンドは88とQ♡J♡で勝率は7%だ。リバーで何も起こらず負け。最悪のコールである。大きなミスプレイだ。
この日は2000ドルの負けだった。敗因はミスプレイ。特に、弱いハンドでコールし過ぎた。フォールドできる状況だったのだが、運良く勝つ可能性に
この日に学んだ教訓たった一つ。「祈れば負ける」
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