Good luck Professional.

 今夜はロサンゼルスで最後の夜だ。今日もフィッシュカモが多めのテーブル。専業プロも混じっている。つまりはいつも通りのテーブルだ。



 最初のハンドでA♡K♦が来た。リンパーコールで参加した1人に対して25ドルへレイズ。BTNボタンもコールして3人でフロップへ進む。


フロップ:7♡6♣6♦

 危険なボードだ。フリーカードが欲しい場面である。ここでベットしてもペアが降りることはないだろう。ブラフレイズでもされたら最悪だ。

 ここはチェックを選択。BTNもチェックしたのでターンへ進む。


ターン:K♣

 トップペアが出来た。そして、俺までチェックで回ってくる。フロップやターンで誰からもベットが来なかったので、強いハンドは持っていない可能性が高い。しかし、BTNだけはスロープレイをしている可能性もあるので注意が必要だ。70ドルのポットへ40ドルをベットする。BTNだけがコールをした。

 さて、彼は何でコールしているのだろう。Kのペアだろうか。88などのポケットペアの可能性もある。6のトリップススロープレイもあり得る。あとはストレートやフラッシュのドローもあり得るだろう。リバーで安全なカードが落ちた場合だけ、バリューベットを打てるだろう。


リバー:3♣

 相手のドローが完成するカードが落ちたので、予定通りチェックする。ポジションがないので、相手へアクションを譲るしかない。(もしポジションがあれば、小さめのバリューベットを打つ選択肢もあるだろう。)

 相手もチェックを返してくれた。KのトップペアとAを見せて勝ち。額は少ないが最初のハンドでポット獲得。幸先が良い。



 2時間後。BTNボタンでQ♠J♠。リンパー2人に30ドルへレイズする。フォールドさせられれば良かったのだが、2人ともコールしてきた。


フロップ:T♦9♦3♡

 ストレートドローが出来たので、小さめの40ドルをベットする。1人がコールしてきた。おそらく持っているのはペアやドローだろう。


ターン:6♠

 ブランク関係のないカードが落ちた。俺のレンジは強いままである。

 しかし、相手から75ドルのドンク先打ちベットが来た。この場面では、通常これは弱めのペアやドローでフリーカードが欲しい場合に打たれることが多い。

 170ドルのポットに対して75ドルなので比較的小さめだ。俺のハンドはドローなのでこの安いベットにはコールが最適だろう。


リバー:8♠

 ストレートが完成。ナッツ最強のハンドである。

 相手から200ドルのベットが来た。最高のシチュエーションだ。相手のスタックは残り600ドルなので素直にオールインを返す。

 しかし、相手はしばらく考えてからフォールドしてしまった。相手が見せてくれたハンドは88。リバーでセット3カードが出来たようだ。降りられてしまったのは残念だが、そこそこのポットを取ることが出来た。



 数時間後。スタックは順調に増えている。SBスモールブラインドでA♡T♡が来た。リンパーコールで入った2人に対して50ドルのレイズをする。2人ともコールをしてきた。

 相手は2人とも弱いプレイヤーで、リンプコールのレンジはかなり弱いハンドで固められている。


フロップ:K♡8♡7♠

 フラッシュドローだ。相手のレンジは弱いし、ヒットがなければ素直にフォールドするプレイヤー達である。

 少しアグレッシブなアプローチになるが、ここは100ドルのベットを選択。ペアやドローを降ろすことは出来ないが、ターンでもう一発打てば多くのハンドを降ろすことが出来るだろう。

 2人ともコールをする。ただし、1人はスタックが50ドルしかなかったのでオールインだ。


ターン:6♦

 少し難しいカードが落ちた。相手にストレートや2ペアが出来た可能性がある。しかし、それは相手から見た俺のレンジも同様である。さらに相手はニット素直なプレイヤーだ。強いハンドで打って、微妙なハンドは素直に全てフォールドするだろう。

 200ドルをベットすると、相手は迷ってからコールした。


リバー:A♣

 Aのトップペアがヒットした。トップペアならショーダウンバリュー勝っている可能性がある。ここはチェックして安全にショーダウンするのが良いだろう。

 相手もチェックしたのでAを見せると相手は2人ともハンドをマックした捨てた。これでそこそこの額を稼ぐことが出来た。



 この日は約1000ドル勝ちでセッションを終了した。良い調子である。特に大きな負けをすることなく順調に勝ち続けることが出来た。こんなセッションが続けば楽なのだが、そう都合よくは行かないだろう。



 余談だが、毎日会うレギュラーの一人に40歳くらいの女性がいる。女性のレギュラーは珍しい。地元のプレイヤーで、毎日カジノにいる。特段強いプレイヤーではないのだが、いつもそこそこの勝ちを納めている。

 今回のテーブルは彼女と一緒だった。途中でひどく負けて帰ってしまったのだが、最後に捨て台詞を吐いていった。


"Good luck Fishes, Donkeys and a Professional."

 この"Professional"と言ったときは明らかに俺を見ながら言っていた。地元のプレイヤーからプロと認識されたようだ。複雑な気分だ。レギュラーからプロと認識されたら、今後は楽戦えなくなる。

 ただ、嬉しいと思う自分もいる。ポーカーの世界にプロ制度はない。俺は地元のレギュラーからプロと認められた。強ければプロと呼ばれる世界なのだ。

 俺はポーカープロとして一歩目を踏み出したのだ。

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