学びの時
レギュラーの中でも強い奴がいる。顔つきは中国系の男性。毎晩、夕方から深夜までプレイしている。俺の見た限りでは、ほぼ毎日勝ち続けているプレイヤーだ。年齢は40~50くらい。スキンヘッドで寡黙な人物。いつも最低限の言葉しか発しない様子からはミステリアスさを感じる。いつも帽子を深くかぶっており、表情もほとんど見ることが出来ない。
ある時、スキンヘッドは7000ドルものスタックを築き上げていた。開始スタック1,000ドルの7倍だ。とんでもない勝ち方だ。
これを見た時、俺は彼のプレイを盗むことに決めた。学びの時だ。
スキンヘッドは毎日のように勝っている。ならば、これは運の良し悪しではない。彼のプレイを見た限り、よく分からないプレイはしていない。むしろ、勝つべきところで勝ち、大きな負けは極力避けているように見える。
彼は
彼の場合は違う。相手に弱すぎるハンドしかないときには、ベットを控え、チェックして相手のブラフを巧みに誘うのだ。また、相手に強いハンドがあり、彼にはより強いハンドがあるとき、彼は
総合してみると、彼は相手のハンドを読む力が優れているように思える。相手のハンドによって最適な戦術を瞬時に判断して、多額の利益を得ているのだ。
まだスキンヘッドの戦略には特徴がある。
リンパーは基本的に弱いプレイヤーだ。彼らの問題は
もし彼らがレイズしたなら、フォールドすればよい。リンプインしてくれば、こちらは強いハンドでレイズをして、彼を
しかし、このプロの場合は違う。様々なハンド(少し弱めのハンドでも)で
これは大きな利益となる。
俺はスキンヘッドを観察して、同じようにプレイすることにした。弱いプレイヤーを見つけ、徹底的に攻めるのだ。
また、弱いプレイヤーの様子も観察し続けた。彼らの
これでかなりの利益を上げられるようになったが、俺はまだまだ未熟である。読みが甘く、予想外のことが起こることもある。しかし、逆に考えれば、俺はまだまだ強くなることが出来るのだ。
また、スキンヘッドを観察するうち、彼の弱点も見つけた。彼の
俺のプレイは
そして、機会は訪れた。俺のポジションは
リンパーが一人で、スキンヘッドが35へレイズ。
ここは作戦通り、
105へリレイズすると、リンパーはすぐにフォールドした。そして彼のアクションである。彼は俺の方を見て、考え込む。俺のこれまでのプレイはタイトそのものである。固く固く、強いハンドのみをプレイし続けていた。だから、この
1分ほど経ち、彼は残念そうにフォールドをした。おそらく、強いハンドを持っていたのだ。しかし、俺のプレイを予想してフォールドしたのだろう。
とりあえず、この勝負は俺の勝ちだ。自分が
およそ30分後、またスキンヘッドと戦った。
ポジションは
俺は勇気を振り絞りコールした。本当は
作戦成功だ。プロデューサーはフォールドして、
俺は考え込んでから、400へ
これで、通常なら
それから1周ほどハンドをプレイすると、スキンヘッドは帰ってしまった。いつもは深夜までプレイしているのだが、今日は早めな帰宅だ。おそらく、自分が
結果的に強いプロを追い出すことができ、俺はこの日530ドルの勝ちでプレイを終了した。
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