レギュラーと戦う
夕方に目が覚めても外はまだ明るい。サマータイムだ。時刻は18時でも実際には17時の日差しだ。
起きたらシャワーを浴びて、すぐに宿を出る。いつものタコスを食べてからカジノへと歩く。30分も歩けば到着だ。
カジノに毎日通っていると、自然と顔見知りが増えてくる。その内、同卓して強いと思ったのは5人。全員がレギュラーと呼ばれる、毎日通っているプロ達だ。
最初のうち、彼らのプレイには違和感があった。かなり広いハンドでコールやレイズを繰り返しているのだ。しかし、結構な頻度で勝ち越している。
おそらく何か秘密があるのだろう、と思い同卓したら観察していた。そして気が付いた。彼らのプレイは、このカジノのプレイヤー達に適応しているのだ。
プロではないプレイヤー達はルースでパッシブにプレイしすぎている。大きなベットやレイズは最強クラスのハンドからしか飛んでこないし、弱いハンドでも降りることが出来ない。
この特徴を利用し、そこそこの強さのハンドで利益を得ているようだ。彼らの利益は主にポストフロップの実力から来ている。
そして、毎日カジノへ通う限り、
インドネシア人の
彼は
かなりしっかりした戦略を持っている。このカジノに適応しているプレイだ。実際、彼はかなりの頻度で多くのスタックを築き上げている。
そんなプレイヤーと
フロップ:T♠T♡9♠
フラッシュドローがヒットした。また、
これはかなり有利な状況で、たとえ相手がTを持っていても十分戦える。チェックが来たので、素直に15のベットを打つ。すると相手が60へレイズしてきた。
これは一見、厄介な状況だ。相手はTを主張している。しかし、このプレイヤーはブラフも多用する。何度も顔を合わせているので、俺がどんなプレイヤーかは知っているはずだ。つまり、彼はブラフ過多な状態だ。
おそらく、ここでコールすれば、彼は俺の手札にTがないと思い(実際にTは持っていないが)、
ターン:7♡
これは非常に良いカードで、俺にストレートドローも出来た。しかし相手にもしTがあれば、
しかし、相手は誰に対してもブラフを多用するプレイヤーである。だから、もしベットが来てもそれほど困ることはない。
彼から70のベットが来た。ポットは150なので、比較的小さめなベットサイズだ。もし彼にTがあるなら、このボードは危険に見えるはずだ。2種類のフラッシュドローとストレートドローがある。今までのプレイから、このようなボードで彼は大き目なベットを打つ傾向にあることも分かっている。
つまり、これまでの情報と今のベットサイズからブラフが怪しいだろう。そして、もし俺がTを持っていたなら(例えばAT)、この場面ではレイズだ。ボードにはドローが多く、ハンドを守るためにレイズするだろう。
俺は200へレイズ。すると彼は不満を言って、2♦を見せながらフォールドした。彼曰く「このボードは俺に有利なはずなのに、ひどいプレイをしやがる」。
負け惜しみだ。本来、彼のレンジには2♦なんて存在するべきではない。それなのに、ボードが有利だからと言って、どんなハンドでもレイズをすることが弱点にならないはずもない。
俺は無言でポットを回収した。
大きく負けたハンドもある。これは他のプロとの勝負だ。
三十代くらいのアメリカ人だ。このプレイヤーはとにかく
このプレイヤーの収入源は主に
このプレイヤーが
俺のハンドはQ♡Q♦。流石にコールするのはもったいないので、更に200へ
この場面で、相手のレンジとして想定できるハンドはQQ~TT、AK~AQ、KQs程度だろう。俺の読みでは、AAやKKは流石に
フロップ:A♦K♡Q♣
最高のフロップだ。相手にはトップペア以上がヒットしている可能性が高い。また、2ペアに対してはオールインまで行けるだろう。
ここで俺は200をベットし、相手は迷ってからコールした。
ターン:6♦
この時点でポットは約800である。俺のスタックも800でここでオールインすると、おそらく相手の
予想通り、彼から450のベット。一応迷ったふりをしてから、レイズでオールインをする。彼は即コール。おそらく、AKのツーペアだろう。
しかし、現実は違った。彼が開いたのはKK。俺の読みが間違っていたのだ。リバーで逆転するようなことも起こらず、結局このハンドで1200ドルを失った。
このハンドでは負けてしまったが、それでも決断にミスはなかったと考えている。相手のハンドにはAKやAQ、KQもあり、そのすべてに対してベストなプレイをしたので悔いはない。
この時は、たまたま運悪く、
このようにレギュラーとの戦いは一進一退だ。ある日は俺が勝ち、ある日は彼らが勝つ。レギュラーと勝負してもほとんど利益にはならない。しかし、
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