Not my day, today.
勝った負けたを繰り返して1周間が経過した。
ここ数日は順調に勝ちを重ねていた。大きく負ける日もあったが、全体としては2500ドル程の勝ち越しだ。
しかし、ここから地獄が始まる。ポーカーというゲームでは、どうやっても短期の結果を安定させることなど出来ない。1ヶ月、2ヶ月と積み重ねてようやく期待値的に勝つことが出来るのだ。
最初の不運は、渡米から8日目のことだった。
この日もテーブルが良かった。弱いプレイヤー、特にどんなハンドでも参加して、ベットを繰り返すプレイヤーが1人と、どんなハンドでもコールするプレイヤーが2人も同卓していた。
これはかなりのチャンスだ。こういう場では、分散は大きくなるが、とてつもない利益が得られることが往々にしてある。
しかしこの日はついていなかった。
思うようにハンドも来ず、ジリジリとチップを減らしていく。多人数ポットが多発するので、そこそこ強い手が無ければ勝つことは難しい。また、他のプレイヤーにペアが出来ている可能性も高いため、ブラフもしづらいのだ。とてもルースにコールし続けるプレイヤーがいることもこれに拍車をかけている。
気がつけばスタックは600になっていた。
フロップ:A♡6♡3♡
最高のフロップだ。フラッシュが完成した。しかし、ここで
すると予想通りレイザーが50のベットをしてきた。良い展開だ。しかし、ここで
さて、難しい展開だ。最初のベットはAが濃厚だろう。レイズしてきたプレイヤーはツーペアや
迷った末、400へレイズを選択。ベットしたプレイヤーはすぐにフォールド。レイズしたプレイヤーは1000のオールインを返してきた。
これはコールだろう。おそらく、フラッシュドローを警戒して、ツーペアなんかがレイズしているように見える。
コールすると、彼が開いたのはK♡T♠。ただのフラッシュドローだ。俺の勝率は約80%である。最高だ。
しかし、無情にも4♣と8♡が落ちた。
"Fuck!"
思わず言ってしまった。相手に上のフラッシュが出来てしまった。周りのプレイヤーは、俺を笑っている。ちくしょう。
9日目。この日もテーブルは弱いプレイヤーで溢れていた。
こうゆうテーブルでは、
AKをプレイしても4人ポットで865とかが落ちて、フォールドするしかない。フラッシュが出来ても、
ポジションは
ルースなプレイヤーがレイズしてきて、1人コール。このレイザーはほとんどのハンドでレイズして、その後もベットを打ち続けるプレイヤーだ。ここはコールして、フロップ以降で稼いでいこうと思う。
フロップ:7♣5♣2♦
レイズしたプレイヤーが50のベット。これはブラフが怪しいので、150へレイズ。すると相手はコールしてきて、
ターン:T♦
俺のスタックは残り450。難しい状況だ。相手はフロップにコールしてきたので、ペアかドローが多いように思える。ターンのTではどのドローも完成していないので、ここでオールインすればかなりのハンドを降ろすことが出来そうだ。また、相手の5のペアなんかはコールが難しいだろう。
反面、7のペアやT♣X♣のペアなんかはコールしてしまうだろうが、それでも
迷ったが、ここはリスクが高いがオールインを選択する。相手は数分迷ってからコール。
リバー:4♡
俺のハンドはAハイ。ほぼすべてのハンドに負けている。
ハンドを見せると、相手は4♣3♣を見せてきた。相手はドローだけでオールインにコールしたようだ。そして、リバーでペアが出来た。俺の負けだ。
オールインした時点での勝率は70%。しかし、負けた。
そして、10日目。この日はバッドビートとは少し違う負け方をした。
この日も
ここで考えるべきは
もし
よって、200へ
フロップ:Q♠8♦3♣
トップペアと
200ベットすると、相手はコールした。
相手のレンジはおそらく、QQ, JJ, TT, 99, 88, AQ, KQ, QJs, QTsといったところだろうか。この中で負けているハンドはQQと88のみである。
ターン:6♦
俺の残りスタックは320なので、素直にオールインする。相手は
リバー:3♡
相手はQQを見せてきた。負けである。組み合わせ的にはほとんどないハンドが出てきてしまった。非常に残念だが、決断は間違っていないだろう。これも仕方のないことだ。
結局、3日間で3000ドルも負けてしまった。これで収支はマイナスである。このほとんどは不運によってもたらされたと言っても過言ではない。
しかし、これは仕方のないことである。ポーカーをやる以上避けては通れないことなのだ。
こんな負けを"That's Poker." と言ったりする。意訳すれば「ポーカーはこんなものだ」。負け惜しみのセリフだが、運不運はポーカーに付きまとう問題である。不運の中でも自分を崩さず、最適を目指して闘い続けること。これがポーカープレイヤーには求められるのだ。
また、こんな日を、ある日に同卓したプレイヤーはこのように形容していた。この言葉は、不運を軽く扱う感じが俺の好みだ。
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