第12話 結局それを聞きたいだけなんだよな
「男女間の友情」は成立するのか?
人生、永遠のテーマだと思う。
自分は、若いころ「成立する」と思っていた。
学生時代、男2人・女1人の3人で仲良く遊んでいた。
いわゆるドリカム編成だ。
もしかして、今の若い人は、ドリカムが3人だったこと、知らないだろうか?!
とにかく3人は仲が良かった。
このドリカム編成のメンバーは、ドリカム女子(かわいい・彼氏なし)、ドリカム男子(彼女いる・彼女はドリカム女子とは別の子)、自分(彼女なし・ドリカム女子が好き)だった。
ドリカム男子とはサシ飲みすることもあったので、
自分の気持ちは、ドリカム男子だけには、話してあった。
でもドリカム女子には告白できないでいた。
ある日、いつものように、3人で飲む約束をしていて、
自分は、少し遅れて待ち合わせ場所に着いた。
二人ともいない。
そして、いくら待っても二人とも来ない。
携帯電話なんてない時代だったから、自分はひたすら待ち、ただ途方に暮れた。
後日、ドリカム女子に会ったので、事情を聞いてみた。
「待ち合わせ場所で【自分】を待っているとき、泣き出してしまった。
バイトでかなりツライことがあった。
その場所にいられる状態じゃなくなったので、場所を移動した。
そこで、ドリカム男子に、愚痴を聞いてもらったり、相談に乗ってもらった。」とのことだった。
とにかく、「勝手に先に行ってしまって、ごめんなさい」と自分に謝ってきた。
その後、泣いてしまったドリカム女子の様子を聞こうと、ドリカム男子をサシ飲みに誘うと、意外な返事がかえってきた。
「実は前から付き合っている彼女以外に、・・・。
好きな子ができた。
今日はその子と会う約束があるから、飲みにはいけない」
続けて、その新しい好きな子との成り行きも話してくれた。
「同じ地元の友達の中の一人で、
この前、二人で会ったとき、
バイトでかなりツライことがあったらしく、その子が外で泣きだしてしまった。
落ち着かせるために、場所を変えて近くの店に入り、その子の愚痴を聞いたり、相談にのったりした。」
うん?
なんか、聞いたことある話だ。
疑問に思っていたが聞くタイミングがなく、そして、話は続いていった。
「その子は、だれからも必要とされていない。いなくても構わない。むしろいない方がいい。誰からも求められていない。と相当落ち込んでいた。
そして、必死に慰めた。
彼女の存在意義を証明したくて、
そのときの流れというか、
そのままエッチをしてしまった。
それが今でも続いている。」
そういえば、
最近、あの会えなかった待ち合わせ以来、3人で遊ぶことがなくなっていた。
そして、
ドリカム男子とドリカム女子が、コソコソ話してることが多い。
もう、
自分は、完全に、二人の仲を疑っていた。
頭の中はぐるぐる回っている。
「男女間の友情」は成立するのか?
そう、しない。
自分がドリカム女子を好きだった時点で、3人に友情なんて成立してなかったんだ。
自分は、あふれ続ける勝手な想像に押しつぶされそうになる日々をすごしていた。
耐えられなくなった自分は、別の友人に相談した。
返ってきた答えは、
それって「お前らSEXしてんのか?」って聞きたいってことだろ?
言われて気づいた。
そうだよな。
野暮だ。
いや野暮というより情けない。
自分が情けなくなって、ただ呆然とするだけだった。
結局それを聞きたいだけなんだよな
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