第11話 アラフィフの憂鬱

五十にして天命を知る

自分には天命なんて見えていない。

心の中で言葉がこだまする。

 せいぜい頑張って下さいーーー


 ◇  ◇  ◇


アラフィフと呼ばれるようになっていたが、大人になりきれていない自分が嫌になる。

お詫びをしていた店長を思い出し、自分で自分が嫌になっていたのだ。


 ◇  ◇  ◇


はじめは、頭を下げている店長に、悪い印象は持っていなかった。

そもそも自分はそんなに怒っていなかった。

プロでも人間だから失敗することだってある。その失敗を責めたりしない。


何度も何度も、ただ同じお詫びの言葉を繰り返すだけの相手に、ふと疑問が生まれた。

 <この店長、何に対して謝っているのか わかっているのだろうか?>


確かめてみる。

 <やっぱり、わかっていない>


その場を早く終わらせたくて、お詫びの言葉をただただ繰り返しているだけだった。


気づいてしまったら、相手よりも自分が、この不毛なやりとりを早く終わらせたくなってしまっていた。

 <もう このお店に来ることはないな>

 <それよりも このお店 長くは続かないだろうな>


誠意は伝わった。とか、

そんな適当な理由を言って、やりとりを終わらせ、店を出ることにした。

ついでに、また来ます。とか、応援しています。とか、付け足したかもしれない。


でも、心の中では、大人げないこと思ってた。精一杯の皮肉のつもりで、

 <せいぜい頑張って下さい>と・・・

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