第7話 嫉妬心を優越感が上書きする

彼女は、ちょっとだけ驚いた素振りをした。

そして、少しだけ照れ笑いをしたようだったが、自分を受けいれてくれた。


 ◇  ◇  ◇


彼女のなめらかな肌の上を、ふれるか、ふれないか、微妙な感覚、微妙な強さで、自分の指が優しくなぞっていく。


もどかしいくらいの時間をかけて、彼女の反応を確かめる。


会話が、会話にならなくなっていき、言葉が、喜悦の声に変わっていく。


彼女の肌に鳥肌が立つ。

抱きしめると彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。

彼女の体温が上がっていくのがわかる。

彼女の心も体も、濡れている。


受け入れてくれた彼女に、優しさでこたえる。

心と同じように、優しく動く。


次第に、自分の気持ちの高まりとともに、彼女の反応を伺う余裕がなくなる。

自分の動きも激しくなる。


どれくらいの時間がたったのだろうか。

疲れ切った体がベッドに沈み込んでいくような感覚で、いつの間にか眠ってしまったのは二人同時だった気がする。


まだ眠りたりない気がする頭の中に、徐々に意識が戻ってくる。

同時に、彼女の顔、彼女の優しい目が視界に入ってくる。


彼女の方が先に起きていたようだ。

まどろみながら、彼女を抱き寄せる。


抱き寄せ、頭をなでると、彼女は呟いた。

「こんなに優しくされたことない」


まどろんでいた頭の中に、急に別の気持ちが紛れ込んできた。

今までどれだけの男が彼女を抱いてきたのだろうか。という嫉妬だった。


そして、自分は、

彼女の優しい目を、もう一度、確かめるように見つめる。


 ◇  ◇  ◇


締めつけられるような気持ちは、自分は今までの男とは違う。という優越感に変わっていた。

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