6.八雲町到着
「やっと海に出たな。」
僕は疲れ果てたような口調で言った。
「こんなに走ってきて今日初めての海か・・・。」
ずっと運転してきた岩清水も流石に疲れた様子だ。
「八雲まであとどのくらいあるの?」
三浦も疲れた様子で訊く。
「1時間じゃ着かなさそうだから2時間位かな?」
僕は地図を見ながら返答した。
「じゃあここらへんで買い出ししておいた方が良いかな?」
「もう夕方だもんな。」
太陽は西の空にだいぶ傾いている。
「買い出しはカレーの材料?それともレトルトカレー?」
三浦が核心を突いてきた。
今から八雲に走って、キャンプの設営をしてからではちゃんとしたカレーなど作れまい。
「そうだな、レトルトカレーだな。」
岩清水が諦めたように言った。
「仕方がないな。」
“キャンプをする”という今回の趣旨がだいぶ崩れてしまったが、実際仕方あるまい。
外でレトルトカレーを食べて、テントで寝るだけでもキャンプをしたものとしよう。
僕らはドライブの休憩を兼ねての束の間の買い出しを楽しんだ。
レトルトカレーの他に缶ビールを1本ずつだけ買い物かごに入れた。
明日は明日で八雲から札幌まで移動しなければならないからそんなに呑んでもいられない。
スーパーを出ると、西に傾いていた太陽はすっかり西に見える山並みに沈んでいた。
ここからしばらくは太陽の沈んだ方角に車を走らせ、噴火湾に沿って弧状に南に進路を変えていく。
長万部の市街地を越えて暫くすると
ここまでは長万部町内で、高速道路も今のところはここまで延びている。
「やっと高速道路の終点を越えたか。」
「もうすぐ八雲町に入るぞ。」
僕は地図帳を見ながら告げた。
「あったぞ!」
助手席の僕が最初に発見し、発声した。
「なんだかもはや懐かしくすらあるな。」
400km運転してきた岩清水が路肩に車を寄せながら感慨深げに言った。
この八雲町のカントリーサインを引いてから8時間半経過していた。
「じゃあ記念にこのカントリーサインの前で記念撮影しよう。」
「でももう暗くて写んないよ。三脚も無いし。」
三脚がないので撮影しようにも暗いから手ブレが酷いし、フラッシュを焚くとカントリーサインが反射してうまく撮れない。
カメラが安物だとどう頑張ってもうまく撮れそうにはなかった。
「仕方がない。明日明るい時間に改めて撮ろう。」
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