5.八雲町に向かう

士別しべつの高速道路のインターチェンジは士別剣淵しべつけんぶちインターといい、名前の通り士別しべつ市と剣淵町けんぶちちょうの境目にある。


今のところは日本最北のインターチェンジである。


北海道を南北に結んでいる高速道路は道央自動車道といい、ここから南に下り、旭川を通って更に南下する。


石狩平野を一気に縦断した後は東に折れて勇払ゆうふつ原野を弧状に回り込み、太平洋に出る。


そこからは噴火湾沿いをぐるっと回って八雲の手前の国縫くんぬいインターまで延びている。


八雲町に向かうにはそこまで一気に走り抜けるのが最速ではあるが、通行料が馬鹿にならない。


そこで、江別の手前の岩見沢インターで降りて、残りは下道で向かう作戦で行くことにした。


道央道は岩見沢までは真っ直ぐ南に向かうが、そこを過ぎると札幌に向かって少し遠回りをするからだ。


岩見沢で降りて真っ直ぐ南に向かえば、遠回りせずに済む。


僕らはそこに通行料と先を急ぐ旅路との折り合いをつけた。


 

士別剣淵インターから高速道に乗り、岩見沢インターで降りるまでは1時間程かかった。


高速を降りたらひとまずコンビニに寄る。


ドライブを楽しむには飲み物も軽いお菓子も必要だ。


出来れば皆でつまめる物が良い。


じゃがいものスティック菓子やチョコレートなんかが良い。


3人共思い思いの食料を買い、岩見沢市を出発した。


ここから栗沢町と長沼町を縦断し、まずは千歳市まで南下する。


千歳からは真っ直ぐ西に向かい、支笏湖しこつこの縁と洞爺湖とうやこの縁を経由して虻田町あぶたちょうの海に突き当たる。


そこからはもう噴火湾沿いを海を左に見ながら走れば八雲に着く。



久々に集まってキャンプに向かう道中の、最初の頃こそ話は尽きなかったが、1時間も話せば話すことはそんなに無くなり、僕らはもう、とうの昔に話題など尽きていた。


もう5時間も走り続けているのだ。


話すことも無くなると、退屈を持て余した人間はしりとりを始める。


単なるしりとりではあまりにもつまらない。


やがてテーマを決めてしりとりを始める。


僕らは動物の名前でしりとりをすることにした。


「しりとりの“り”。」


「リス。」


「すずめ。」


「めじろ。」


「めじろ!?ロバ。」


「ば?馬刺し?」


「喰うなや!」


動物しりとりは時間つぶしにはとても良かったが、長い時間やっていると煮詰まってくる。


どうにも動物の名前が思いつかない文字があるのだ。


「ちょっと“あ”から順番に動物の名前あるか考えようぜ。」


「あり。」


「いぬ。」


「うし。」


順に考えていった僕らに思いつかない文字は3文字だった。


「“の”と、“る”と、“ぜ”が思いつかないな。」


「うん、思いつかない。」 


そうしているうちに僕らは虻田町あぶたちょうの海に突き当たった。

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