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「私、ケイコ先輩のことが大好きです。大大好きです」

 頭を金槌で打たれたような衝撃。いや、金槌で打たれた経験は無い。車に轢かれたときと同じぐらいか。

 背後で示し合わせたかのようにドローンの群れが花火のようにきらめいて散った。そして仕事を終えて、ブーンと低音の羽音を残して文化祭準備室へ戻っていった。

 まるでミュージカルの舞台だな。1回だけ観たことがある。

 アイカは街灯の下に立って明るくライトアップされている。いつもと同じニコニコスマイルのアイカだが緊張しているように胸の前で両手をギュッと握りしめている。

「あの、ありがと。アイカ」

 黙っていちゃ悪い。しかしまともな言葉が出てこない。

「だから、付き合ってください。あ、ううん、付き合ってくれませんか」

「付き合うって、でも女だよ私」

「だめ、ですか。やっぱり」

 いや、いい。むしろ嬉しい。だからそんな悲しい顔をしないでほしい。しかしそう言いそうになった口を理性が押さえた。

「でも、私、車椅子だし、迷惑ばかりかけると思うの。性格だって、暗いし友達も少ないし」

「わたしがどこまでも車椅子を押していきますから!」

「それが苦手なの、私は。他人に迷惑をかけることが苦手なの」

「全然迷惑じゃありません。わたしの夢は先輩の足になることだらから」

「ええと、つまり」

「エヘヘッ、ちょっとまちがえました。緊張しちゃって。脚を自由に動かせる、そんな機械を作ってみせます」

 私なんかに人生を使うなんて。でもうれしい。愛ってこういう感覚だったんだ。誰かを守りたいという想い。アイカの言葉に嘘偽りはなかった。素直なままのアイカだ。

「ええ、こちらこそよろしくおねがいします」

 

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