第2話 思春期
やがて成長した鈴木さんは思春期を迎えた。
ここでも特に仲間と遊ぶわけでもなく、1人で遊ぶ事が多かった。変わらないスタイルで家に帰りゲームをする毎日でした。
学校でイジメに合う出来事が起こるが、特に学校のことを親には報告せずにいたみたいだ。
それでも真面目に学校に行き、授業に取り組むが、成績は決して良くなかった。
ある日の事だった。鈴木さんの身に病魔が襲う。授業中に口から突然血を吐き、そのまま気絶する。しばらくの間入院する事となる。
この一件以来、周りの人が鈴木さんを気にかけ始める。そして退院後いつものようにゲームをするのではなく、友達が出来るようになった。
今度は野球やサッカーとスポーツが出来るようになり、またチームでも大きく足を引っ張らない程度の実力をつけた。
その時の顔はとても笑顔だったそうです。成績も良くなり、普通に出来るようになったそうです。
この調子で高校にも無事受験し一発で合格出来るようになりました。
◆◆◆
高校に入学すると、少し気がかりのこと事が起こる。
それは怒りの感情について。今までほとんど怒る事がなかった鈴木さんは相手に対して怒ったのだ。
理由は相手の言い方がまるで自分の人格を否定されたかのような言い方をされたからである。それが原因で相手に対して激しい怒りをぶつけた。
教室にある椅子を投げつけ、それが相手にあたってしまい、大怪我するまで発展した。まさか鈴木さんがそんな怒りの感情を持ち合わせているとは誰も思わなかった。
それ以降、その怒りの感情を引き出しにしまうかのように自分の全ての感情を押し殺してしまった。
ただ相手に大怪我させた事が申し訳ないという気持ちが強かったせいか、その子によく謝っていたという。
そしてこのことについて先生は親にきいてみることにしたそうだ。
「浩司君あれから家ではどんな生活を?」
「本当怪我させてしまった子には申し訳なく感じます。浩司は、またゲームをやるようになりました」
またという言葉に、当時の事を母親は話す。
「そうですか。でもまた立ち直れると思います。我々も出来限り協力致します」
「よろしくお願いします」
しかし、成績は学校のいう基準値を下回っていなかったので、その後は高校も卒業する事となったものの、最後まで友達を作って遊ぶことはなかったそうだ。
もうここまで来ると親の出番は少なくなり、今度は自力で何とかして生きていく力を身に着けていかなければならない。
この子は大人になると、どんな子になるのかそれだけが心配な鈴木さん。
大人になると基本は1人で生きていかなければいけないし、誰も助けてはくれない。自分から何も発信しないのであればなおさらである。
ところで今までの話で、鈴木さんのお父さんについて何も触れていなかったのだが、鈴木さんのお父さんは家庭にはほとんど帰らない人で、子育ては基本母親だけ。
いつも仕事ばかりしていたお父さん。なのであまりお金には困っている様子を伺えなかった。
けれども鈴木さんがどのようにして困っているかなど、このお父さんは全く知らなかったという。
今回の件の事もほとんど話に加わることもなく、母親に任せきりだとか。
一体どうなるのか先行き不安なまま社会人となる。しかし、ここでは鈴木さんにとって過酷な人生が待っているのであった。
ー続くー
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