第1章 その6
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TOYOSU―SYO屋上――夜空に、盆の月と、一番星。崖下に広がる東京湾の夜景。
対岸の臨む七色電飾の高架橋レインボーブリッジ。上り車線で各車両のヘッドライトがお行儀よく止まっては、一定の時間をおいて、まるで堰を通過した川を漂う大小様々な流木の如く流れていく。
昨今の車はアイドリングストップ機能を搭載しているので信号待ち時は騒音になりにくいが、多くの道路を常時行き交う車両の音や、各都心施設に設備されたエアコン室外機の音などが合い塗れて騒音をなしてもいる都心。
レインボーブリッジ――光るパトランプを屋根に乗せて路肩に待機中の高級車は覆面車。
検問ゲートとなして複数車線を一本となす赤く光るカラーコーンと左右の白黒パトカーが成す規制線が流れを細くして、電飾警棒を持った制服警官の交通課隊員らが一台ごとに車両を止める。
「どちらから」と、警官が問いては、免許証を拝見し……光る警棒を振って通す。
覆面車の中の運転席に勇希(沖勇希)がいて、その助手席に制服姿の望月遥巡査部長。
「すみません、勇希警部補先輩。ご苦労頂いて」と、遥。
「うんいいのよ、遥ちゃん。貴女の上司とは同期生だから仕方ないわ」と、勇希。
「Ⅰキャリ(Ⅰ種キャリア)の優等幹部街道まっしぐらのうちのボスと」
「え、知らなかった? 遥ちゃん」
「……はい、警部補」
「階級呼び、やめて、癖になったら、普段も出ちゃうからね、遥ちゃん」
「ああ、あ、はい、警……あああーえー勇希先輩」
「うん。それでいいわ、遥ちゃん。普段は一般者に溶け込む格好のデカだしね」
「ああ、そうか。面ワレ防止ですね、先輩」
「そう。特に女は、服装やヘアスタイルでも印象を変化させやすいでしょ」
「普段って、誰か、追ってるんですか? 勇希先輩って」と、遥。
「それはねー、ひ、み、つ、よ! 遥ちゃん」と、勇希が……。
「あ、赤いスポーツカー」と、窓の外を指差し遥。
勇気が振り向いて、見る。
警官に免許証を提示するその容姿は、インカムを片耳にしたドライバー女子(リサ)。
「対象はミッドシップカーで、ツーシーターよ、遥ちゃん」
「あれは、T社の
「そうなの? 対象の車の特徴だけしかデータ貰っていないから」と、勇希。
「REVNO286は、当時の直4気筒で80年代に製造されたツインカムの1800ccエンジンの最高峰で、加速力と小回りの点では群を抜き、ある峠での峠族の中では伝説をつったほどのミリオンカーですよ、先輩」
「そうなのね、詳しんだ。学習しているのね」
「私、当時対向車のシルビアン
「え、競ったの? 峠で、って?」
「二十五年の世界観でも、様々にありますよ」と、遥。
「そうね。それは私も、子供のころからパピーに、耳タコよ」と、勇希。
「あ、でも、流石です、完コピ把握。Ⅰキャリな勇希先輩。ウチのボス一押しですね」
満更じゃない顔の勇希。
「でも、そのREVNOを圧倒した伝説の超レアが、今お尋ね者のミッドシップTRⅡなんです。もろ、スカーレッドのプレートナンバーは様々で」
REVNO286の後ろに、保冷4トントラックが検問を通るが、今夜お目当ての赤いミッドシップカーでないため、スルーパス。トラック後方パネルにTOCHIGI2022529のTOCHIGIの
「え、あ、まさかね」と、勇希が呟く。
「どうしたんです、先輩」と、問う遥。
「ああ、いやなにね。今追っている案件のことを少しだけ、過ってしまっただけよ。今はこっちに集中だわ」と、勇希が検問所一点に視線を止めて、微笑む。
革ジャン、ブラックジーンズ、ハイカットスニーカー姿の沖勇作がアップハンドルの単車で、検問所をスルーパスして、乾いたようなエンジン音を棚引かせ覆面車の横に来る。
シューズカバーの足がギヤーをニュートラルにして、跨ったままの沖勇作がメット(ヘルメットの略称)を取ってサイドミラーにかける。
敢えて沖勇作が遠くを見る視線の先には、スルーパスしていった保冷4トントラック。
「今夜も空振りだな、勇希君」と、沖勇作がインカムを通じて覆面車の無線に声を届ける。
「そうね、ガンマンさん」と、勇希。
「今のって、勇希君」と、沖勇作が問うように言う。
「うん。私も気にはなったわ。でも、栃木とは真逆だしね、ガンマンさん」と、勇希。
「そろそろ、時間だな」と、腕時計を見る沖勇作が、メットを被る。
勇気と遥が頷きあったのを黙認した沖勇作が、単車を走らせる。
革ジャンの背を膨らませ……沖勇作が単車で去って行く。
「いつ寝ているんだか?」と、呟く勇希。
車内時計……02:30。
「え?」と、聞き返す遥。
「これから射撃訓練よ、あの人」と、勇希。
「どうして、所轄のおじさんまで……」と、不思議がる遥。
「貴女の上司のチョイスでしょ」と、勇希。
「ボスによれば。第三課の勇希先輩に戦術を。豊洲署の沖勇作警部補に実働の応援を。と言われているのですが」と、小首を傾げる遥。
「やっぱり、きっかり第四金曜日の深夜零時にレインボーブリッジを通過するということに、何か意義があるようね、REDMATTERには」と、勇希。
「オービスカメラに、Vサインする写真を撮らせて」と、遥。
「顔が一般的過ぎて、車の特徴のみ」と、勇希が、スマホを出して情報で紹介されたREDMATTERを運転するドライバー男子の顔写真を確認する。
「主張しきっていて、ドライバーの方には……」と、遥。
「今度の金曜日までに対策を講じるわ。今夜はここまでね」と、勇希。
遥が窓を開けて手を振る。「おおーい! 撤収―」と、無線機も声を拾っている。
と、検問を強行突破する一台の乗用車。バシャンと、衝撃音が棚引く。
「おい!」と叫ぶ警官の声。
反応良く、推定五十メートル先で単車をターンさせ、跨ったままメットを取る沖勇作。
迫りくる暴走車は黒い外車のライトバンタイプ。一発で黙認し判断した沖勇作が!
ドヒューン!
と、跨ったままのその右手で早撃ちする沖勇作。銃口から火薬の煙立つ……コンバットマグナム!
前輪右タイヤを破裂させ地面に底が当たって止まるライトバン。
その車内では、エアーバッグが膨らんで、シートとサンドイッチ状態で、両サイドのドアを開け項垂れているスーツ姿のビジネスマンタイプの男たち。
覆面車から機敏に出た勇気と遥がライトバンの後方から来る。
ライトバン前方からは、サイドスタンドで立てた単車を背後に……ゆっくりと歩んでくる沖勇作。まだ持っているコンバットマグナム。
「何?」と、職質する勇希。
ライトバン右の前輪がパンクしている。
「ま、如何にも怪しいです、見た目の風体」と、遥。
「また、別件だろうが、事情は聞いておく必要がありそうだぜ、このお兄様方には」と、沖勇作が鼻で笑う。「フッ!」
「そうね」と、勇希がスマホする。
「でも、でも……」と、その右手を指差す遥。
沖勇作のその手に軽く持たれているマグナム。
「え、査問委員会が……ああ、弾道検査! 許可って、出ていないですよね、勇希先輩」
スマホを終えた勇希が答える。「え、まあ、そうよね。たあいへん!」と、口角を横に薄く笑う勇希。
「え? そんな程度、ですか、先輩。チョー絶問題では」
「ま、また絞られはするだろうな、お歴々連中からな」と、沖勇作が理路平然と答える。
「あの、カメラ、抑えて、遥ちゃん」と、勇希が街頭カメラを指差す。
「え、あ、え、どもどうしてです、先輩」と、遥。
「あれが、一番角度的に、今のシーン見えているかなって」と、勇希。
「あ! あーあー。正当防衛の証拠映像ですね、先輩」と、遥。
「いいや、俺のコレクションさ、お姉ちゃん」と、額にチョキにした右手を当て、前に出す独特の敬礼(ニヒルVサイン敬礼)を放ち、ターンして、単車に戻って行く沖勇作。
「ま、伊達に叩き上げやっていないから、あの人も」と、勇希。
ポカーンと口を開けて……佇むばかりの遥。
右の手を革ジャンの中に入れ、腰のフォルダーに収めるマグナム。
救急車が来て、スーツ男二人を搬送していく。
「さ、ゲリライベントも終了ね、帰ろう、遥ちゃん」と、覆面車に戻る勇希。
「え、はい。あ、えっ? ええーーーーーえ! あ、待ってくださいよー先輩。あまりにも衝撃が襲われ過ぎて……私の処理能力が追い付いていませんよ、勇希先輩」と、小走りして勇希に並ぶ遥。
ドッドドッド……とエンジン音を棚引かせ、首都高を上って行く沖勇作が運転する単車。
帰還中――覆面車を運転する勇希。助手席に遥が肩上ボブの乱れ髪を左の手櫛を通して、外を見ている。
「お姉ちゃんって!」と、遥の声が漏れる。
「え」と、勇希が問い直す。
「ああ。あの愛称ガンマンのおじさんが、私を、お姉ちゃんって」
「あ、それね。ま、昭和からの叩き上げだから、大目に見てあげて、遥ちゃん」
「セクハラプラスコンプラ合わせの違反ですよね、勇希先輩」
「うんン……でも、いきなり口癖を改めろって言われても、慣れてしまった言葉遣いはなかなかね」
「でも、気にして直すのが……」
「私たちは二十代だからね。でも、五十代になってしまうと、どうだろうね、遥ちゃん」
「……」
「そのとき、今と違うマナー的でも正さなければならないことが出てきたら、早急に直せるものかなーって、私、自信無いな、想像だけれどね」と、勇希がしっぽりと言う。
勇気の熱弁に、返す言葉を失っていた遥で、今もなお継続しつつ、一応頷いて、また手櫛を通し……窓の外を見る。
フロント前方に、元江戸城のお堀が都会の街並みにちらほら見えて、夜空を写している。
TOYOSU―SYO屋上――月が頭上に移動していて、一番星が一等星となった夜空。崖下に広がる東京湾の夜景。対岸の高架橋レインボーブリッジも通常通りの深夜の疎らなヘッドライトの流れを取り戻している。
そして――白みがかる水平線との境の空が、数時間の後の日の出を予告している。
自然界は人間の都合通りにはいかず、シチュエーションに伴う不自然に自然現象が決して起こりはしない。晴れは晴れだし、嵐が来れば来る。
豊洲署地下射撃場――ブラウン革ジャン姿の沖勇作がマグナムを乱射する。赤い箱がもう四箱目を空にしようとしている。
自然に求めず逆らわず、漂うような人生上の流れの身を投じたような、純粋で純真な目つき顔つきの沖勇作が、コンバットマグナムを撃ち続ける……。
ドヒューン!
(純粋に、己を貫くぜ、俺は!)
その一階フロアの中――正面玄関口のガラスから日光がすでに差し込んではいるが、今は人っ子一人いない一般外来者用『免許更新』や『落とし物』といったプレートのある受付カウンターと、奥横のエレベーターと沿う上下階段の狭間に見える……通用口のセキュリティセンサー赤ランプのドア。4時を表示するアナログ大時計。
舞花の部屋――
床に落ちているスマホのアラームが鳴って、ベッドで寝ていた舞花が寝ぼけつつ上体を起こす。ベッドの下にパンティを含めた衣服。シーツをサリーの如く体に巻き付け、落ちそうになりつつ……アラームを止めて、床に立つ。
豊洲署地下射撃場――
薬莢をシリンダからこぼしだす沖勇作。
(此奴だってそうだ。銃が悪いわけじゃねえ、悪用する奴らが悪いんだ)
素早く起用に三発ずつ指に挟んでシリンダに込める。
舞花の部屋――
舞花が纏ったシーツを脱ぎ捨てて、バスルームに入る。ジャー! と、中からシャワーを浴びる音がして、すりガラスドアに華奢な女のバックシルエットが揺らぐ。
豊洲署地下射撃場――
ドヒューン! ドヒュン、ドヒュン……と、リズミカルに反響する銃声。
(要は、扱う奴らの考え方次第で、善にも悪にもなるんだ!)
コンバットマグナムを撃つ沖勇作。
舞花の部屋――
キュッ! とバスルームのドアが開き、素足がバスマットの上に出て来る。
体にバスタオルを巻いた舞花がリビングに来て、ハンドタオルで髪を拭きつつ……床に落ちたスマホを拾って見る。
沖勇作が拳銃無断使用のニュースが報じられていることを、申立サイト黒板でプチ情報を得て、ネットニュースを目で追って、早着替えしてポニーを結って、部屋を出る舞花。
豊洲署地下射撃場――
殻薬莢をダスト穴にガラガラと入れ……空き箱を分別の紙用ゴミ籠に入れるブラウン袖。
舞花の部屋――
スカかわ(爽やかイメージで可愛らしい)トップスに薄生地スカパンの舞花が、
(オジちゃまったら)
と、肩掛けバッグを鷲掴みにして、スマホを入れて、早足でドアを出る舞花。
豊洲署地下射撃場――
ブラウン袖の手が……青い箱から三発、赤い箱から三発交互にシリンダに詰めて、マグナムを振ってシリンダを閉じる。
(しゃーねぇ、行って来るか!)
と、マグナムを腰フォルダに収めて、ブースを後にする沖勇作。
警視庁会議室――査問員会での、沖勇作。
五名のお歴々がずらりと並ぶテーブルを前に、革ジャン姿の沖勇作が立っている。
「沖君ねー銃を乱射し良いと思っているのかね」と、真ん中のお歴々が口火を切る。
「だいたい、無断所持では」と、その右のお歴々。
「はあ、ですが。交番のお巡りさんらは持っておりますよね、銃」と、沖勇作。
「それは、ファッションだよ」と、左端から二人目のお歴々女子。
「そう。ちらつかせれば大概の強面でもビビる」と、向かって右のお歴々。
「パフォーマンスで、持たせていると!」と、沖勇作。
しっぽりと頷きあって、銘々を見るお歴々。
「結果的ではありますが、沖勇作警部補の銃で、コカイン密売組織のアジトを壊滅に繋がったと、組織犯対二課から……」と、警視正階級のお歴々女子。
渋りつつも、納得する他のお歴々。
「では、今回も免責とするが。言い訳利かぬ事態には、首にするからね。沖勇作警部補」と、左端の警視正階級のお歴々女子。
「いいぜ、それでも。俺がこいつで(マグナムを手にして)犯人をも殺めたときは引退だ。腹は括っている」
と、凛と右端からお歴々を見渡して、マグナムをフォルダに収める沖勇作が、ブラウン革ジャンの襟を両手で上げ持って直し、ドアに向かって歩みだす。
TOYOSU―SYO屋上――薄曇りの東京湾。豊洲署周辺も曇っている。
捜査課――ブラインドかかる窓からの外光が明るくなったり、陰ったりしている。が、奥壁の大型テレビに影響はなく『沖勇作の無断発砲』タイトルの会見が報じられている。
各デスクに着いて、テレビを観ている鮫須係長と真中。
小走り迫るヒールの音が観音ゲートを入って、
「えー首ですか? オジちゃまって?」と、舞花が出勤するなり、問いかける。
意味深に微笑む鮫須係長と真中。
常習的に御遺憾のあるお二人の表情に、困惑して首を繰り返し傾げる舞花。
会見場――沖勇作が、記者に対して、答える。
報道陣がカメラや記憶媒体を雛壇に向ける。
雛壇に、お歴々女子の警視正と、沖勇作が並んで着座している。
「……といったことですので、どうぞ、ご了承くださいますよー……」と、着座する警視正階級女子の早川晶子、五十歳。
報道陣から、矢継ぎ早に質問が飛び交う……。
「それって別件ですよね」と、男性記者。
「拳銃発砲とは無関係では!」と、強め口調の女子記者。
「そもそも拳銃を、どうして所持していたのです?」と、別の女子記者。
「しかも、警察拳銃で、なかったとか!」と、中年男性記者の威圧感ある質問。
「別件でも、突発的犯行に対処しただけです、沖警部補は」と、晶子警視正。
「場合では、止める手段で、俺にしては、最善策だったもので」と、沖勇作。
晶子警視正が沖勇作を見て、会場に向かって頷く。
「沖警部補にとっては……」と、言いかけた晶子警視正を手で制して、沖勇作が答える。
「俺、外してないぜ。マグナムも事後の予測も、ドンピシャだ」
「もしもの時は!」と、強気口調女子記者。
「腹、据えているぜ、俺って」と、沖勇作が指でつくったエア拳銃を、その女子記者に向かって、「バン!」と、口でい音出しして、指先を向ける。
ウッと! 胸を押さえて、ふりをする女子記者。それでも記憶媒体を雛壇に向けている。
「プロ根性! あんたもだが、俺もだ!」とお、沖勇作。
「何がです?」と、やや口調が優しくなっていることにも気がつかず、再び問う女子記者。
「お互い、プロってえこと!」と、クールに笑う沖勇作。
横で晶子警視正も再三頷き続けている。
女子記者が、記憶媒体の突き出しを弱めて……微笑む。
立ち上がる沖勇作。
「このへんで、勘弁願えないかな、諸君!」
晶子警視正も起立する。
スチールカメラのストロボが矢継ぎ早にシャッター音と共に焚かれまくる……。
お得意Vサインのニヒル敬礼する沖勇作。
リサの部屋――女子ッポイが、赤と黒の配色チョイスの部屋。
赤黒ツートン柄のパソコンで『申立サイト黒板』の履歴チャットを閲覧しているリサ。赤のトップスと黒いパンティ姿のリサが立ち上がって、その部屋からいなくなる……が、バドナイザービールの瓶を手に戻って来て、口で線を開けて、ゴクゴクと飲み。パソコンデスク横のソファベッドに寝そべる。パソコン画面がネットテレビ状態で――下半身にサマー薄布団をかけて、瓶ビールを飲みながら……ネットニュースを見るリサ。
ジャン! サンターあーあーあールチーア! ジャン!
の、着信音が鳴り、サイドテーブルに手を伸ばしスマホを取るリサ。
「あ、パパ。届いたんだ……ん、美味しいでしょ、日本のマグロって……ん、じゃね、パパ」と、スマホの電話を切って、サイドテーブルに置き、瓶ビールを飲み干してこれまたテーブルに置き……「はあーあ!」と、伸びをして、目を閉じるリサ。
寝息が立つ……。
TOYOSUーSYO屋上――天界から注ぐ後光カーテン現象の東京湾の絶景。
崖下を見渡してタバコを吸うブラウン革ジャンの沖勇作の後ろ姿。
「勇作さん」と、女心たっぷりに声掛けした晶子が後ろから近づく。
振り向いた沖勇作が、携帯ソフト灰皿にタバコを揉み消し入れて、革ジャンのポケットにそれごと手を突っ込み、晶子に近づく……。
「さ、事件が山済みだ。デカ部屋の行くぜ」
晶子の肩をポンと叩いて、中へと入って行く沖勇作。
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