不敵なる犯行
明智邸の広間にブシドージャーと冬姫、投野老人と明智氏が集まり、妖魔の予告状を睨んでいた。
「今夜、黄金の仏像を盗みに行くだと!大胆不敵な盗賊め!」
明智氏は顔を真っ赤にして怒号を上げた!
「明智氏、落ち着いてください……冷静さを失うと盗賊の思うつぼです!」
緋月は明智氏を落ち着かせた!
「御主人……深呼吸してください! メンタルをリセットするのです!」
投野老人も緋月に同調した!
「いよいよ明智氏の精神が悲鳴を上げたと判断したのでしょう……今夜が正念場でしょう」
涼太は冷静に妖魔に対処しようと声をかけた。しかし、明智氏の心は不安でしょうがなかった。
「……少し自室で休んでくる」
明智氏は精神を休ませるために自室に戻っていった。それから明智邸がにわかに騒がしくなってきた。
◆◆◆◆◆
夜11時、明智邸ではブシドージャーが黄金の仏像を寝ずの番で守っていた。
「周囲にはブシドージャーが守りを固めており完全な警戒態勢をとっておる……賊よどこからでも現れるがいい」
明智氏は先程までの情緒不安定な様子とは一変し強気な態度で黄金の仏像の入った桐箱を守っていた。投野老人もここに来て覚悟を完了した明智氏に頼もしいものを感じていた。
「しかし、御主人……もうすぐ時計の針が12時を回るというのに賊は来ませんね」
「投野……そう油断させてから盗むのが盗賊のやり方だ。警戒を怠るなよ」
明智氏は投野老人に釘を差した。ピリピリとした空気が流れた!
ドーン!
突然、何かが爆発した音が響き渡った!
音の鳴ったほうへ真っ先にブシドージャー、少し遅れて明智氏と投野老人が飛び出した。キョロキョロと異変がないかと確認した!
「これは爆竹……一体誰がこんなことを」
かろうじて見つかった爆竹の残骸を見つけたが盗賊の気配は見つからなかった。
「これは罠だ!」
緋月は叫ぶとブシドージャーと明智氏、そして投野老人は黄金の仏像の無事を確認すべく部屋に戻った。
「明智氏……桐箱を開けて黄金の仏像を確認してください」
明智氏は涼太に促されて桐箱を開いた。次の瞬間、明智氏は驚愕の表情を見せた!
「黄金の仏像がない! こんな僅かな時間で黄金の仏像を盗み出したというのか!?」
あまりにも大胆な手口にブシドージャーも投野老人に言葉を失ったのだった。
「皆さん、大変です!」
次の瞬間、冬姫が部屋に飛び込んできた!
「冬姫!? どうしたの!?」
夏姫は冬姫に問いただした!
「胸騒ぎを感じて蔵の中に入ったら明智氏が!」
そう言って部家から現れたのは二人目の明智氏だった!
「こ……これは一体!?」
投野老人はあまりの出来事に腰を抜かした!
「部屋の中で精神を休ませていたら何者かに襲われたのだ……」
もう一人の明智氏は憔悴した様子で何が起きたのかを語った!
「ククククク……まさか伏兵がいるとは思わなかったよ」
明智氏はそう呟くと笑い出したのだ!
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