亡霊海賊

「……ククククク」

 不敵に笑う偽明智氏と憔悴した本物の明智氏、ブシドージャーは対決を迫られていた!

「なるほど……密かに明智氏になりすますことで我々を欺こうとしたわけですか」

 涼太は静かに状況を語った。

「しかし、冬姫がうろちょろしたおかげでその陰謀があらわになったようね」

 夏姫は冬姫を見た。冬姫は照れくさそうな表情をした。

「……その通りだ。完璧な計画を考案したが思わぬところで足をすくわれるとは思っていなかったよ」

「これでは黄金の仏像は盗めないな……覚悟しろ」

 緋月が偽明智氏に観念するように告げた。しかし、偽明智氏は不敵な表情をしたのだ!

「観念するのはお前たちの方だ」

 偽の明智氏は強引に投野老人を掴むと自分に引き寄せたのだ!手には短筒を持っている!

「……さて、黄金の仏像を返してもらおうか。この仏像は久留島家の家宝なんだ」

 偽の明智氏は妖力を増大させるとその正体を表した!、

「……妖魔か」

「俺の名前は久留島炎鬼、海賊だ。俺の集めた秘宝を返してもらおうか!」

「久留島炎鬼だと!」

 正体を表した久留島炎鬼にブシドージャーと冬姫は驚愕を隠せなかった!

「遠い昔に死んだはずの海賊が何故蘇ったのか!」

「ククク……確かに俺は一度死んだ……しかし、俺の強い欲望は妖力と結びつき亡霊海賊として蘇ったのだ!」

「なんたる恐るべき妄執……」

 明智氏は亡霊海賊の威圧感に立ち竦んだ!

「雑談はもういい……黄金の仏像を返せ。さもなくばこの老人の生命はない」

 炎鬼は人質戦術をとり脅迫した!

(……これでは手も足も出ませんね)

 涼太は投野老人を救出する手段を考えていた。

「どうした……早く黄金の仏像を渡せ。俺はこう見えて気が短いんだ。それとも老人が酷い目にあうのが見たいのか?」

「くっ!」

 今やこの場の空気は久留島炎鬼に支配されていた。このまま黄金の仏像は久留島炎鬼に渡してしまうのか! 危うし!


 次の瞬間、冬姫が黄金の仏像の入った桐箱を投げ渡したのだ! 唖然とするブシドージャー!

「物分りのいい奴は大好きだ」

 炎鬼は桐箱をキャッチして中身を確認した。すると桐箱の中から光が溢れた!

「ウワーッ! 眩しい!」

 炎鬼は思わず桐箱を取り落とした!その一瞬の隙に緋月は投野老人と桐箱を取り返した!

「……形勢逆転だな」

 ブシドージャーの見事な逆転だ!炎鬼は思わず歯噛みした!

「久留島炎鬼……観念しろ!投野老人は取り返したぞ!」

「……それはどうかな?」

 炎鬼は単筒を発射した!するとそこから白い煙から出てきて周囲が見えなくなった!

「煙幕だ!」

 そこから久留島炎鬼は猛然と逃げ出した!

「追え!追え!」

 ブシドージャーと久留島炎鬼の鬼ごっこだ!

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