特殊部隊現る
「多分、ここにいれば安全かな?」
春風と愛日はミカヅキハイランド内の休憩施設まで逃げてきた。施設内では避難してきた人々が数名いてどれも不安そうな表情をしていた。
「春風お姉さん……涼太お兄さんは大丈夫かな?」
「葉月さんは大丈夫……きっと大丈夫だよ」
不安そうな顔で愛日は涼太の安否を心配したが春風は涼太は心配ないと言い聞かせた。そこにミカヅキハイランドの職員がふらりとやってきた。春風は声をかけた。
「すみません……この子、両親とはぐれてしまったんですよ」
春風はミカヅキハイランド職員に愛日のことを言った。
「それは大変です……早く両親を探してあげないと!」
「愛日ちゃん……お父さんとお母さんの名前はわかるかな」
「遊聖パパ……葉名ママ」
「遊聖パパと葉名ママですか。本当なら迷子センターに行ってアナウンスをしたいのですが……あのスライム騒ぎではちょっと難しいですよね」
「でしょうね……ちょっと騒ぎが落ち着くまで待つしかないですよね」
そこまで春風は言いかけた時、どこからともなくヘリコプターの音が響き渡った!
「一体何事!? 」
「何者かがヘリから降下してきたぞ!」
「スライムの次は特殊部隊かよ!」
次々におきる非常事態に避難客はパニック状態になった!
(明らかに普通じゃない事態だ)
春風は愛日をハグし、愛日の不安を取り除こうとした!
やがて休憩施設の扉が開かれ特殊部隊がしめやかに侵入してきた。
静かに整列して待機する特殊部隊の列からウィルソンが歩み出る。
「皆さん……落ち着いてください。私たちはあなたがたを救助しに来たものです。今から皆さんを安全な場所までお連れします」
春風は直感的に怪しいと感じた。
「すみません……上司からこの休憩施設に事態が沈静化するまで待機していろと指示を受けたのですが、上司から話は出ているのですか?」
ミカヅキハイランド職員はウィルソンの圧に押されながら質問した。
「超法規的措置です。今は緊急事態だと判断し行動しています」
(超法規的措置ね……)
春風は視線だけで特殊部隊を品定めしていた。
「でも、お客様が特殊部隊の姿に怯えています……せめて特殊部隊をひっこめてくれないでしょうか?」
「注文が多いですね……私達のことを信じてくれないのですか?」
ウィルソンの言葉にミカヅキハイランド職員はたじろいだ。
「どうやら言葉がでないようだ……」
「わかりました……あなた方に従います」
一方、春風は特殊部隊の正体にようやくたどり着いた。
(あいつらはWAOだ……死の商人が遊園地に何の用事があるの!)
WAOは国際的な軍産複合体の巨大シンジゲートだ。その組織力は強力だ。ヴィラン組織にも取引をしているので当然、春風は存在を知っているのだ。
(どうにかして、大禍社に連絡を取らないと!)
春風はWAOの監視をくぐり抜けて大禍社に連絡しなければならないというミッションを背負うことになったのだ。
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