第8話

家のお風呂は、きれいなステンレス製で、お風呂につかってると、自分のはだかも、きれいに鏡のように、うっすらと反射して、4面に、自分のはだかを見ることできて、好きな空間なんだけど、部屋の霊も、それと同じような感じで、自分の横に、うっすらと、浮かび上がって、ぼんやりと見ることが出来る。


部屋にいると、絵をめっちゃ描きたくなるし、上手に描けるから、なんとなく、その女の子の姿も描くようになった。受験勉強しながらも、ノートに、その子の着物姿や、時には、はだけてる姿や、時には、着物を脱いで裸になった姿も描いたりした。

そして、自分の描いてる絵をぜんぶ見てくれてる気する。描くことを応援してくれてる気する。弟子の作品を見てる、お師匠さんみたいに。


描いてるうちに、だんだん、その女の子のことを好きになってきた。別に自分を驚かそうとしてるわけでなく、好きな芸術論を自分に説いてくれてるようで、自分も美術や芸術のこと好きだから、なんとなく、霊とも、好きなもので結ばれていて、気も合ってるように思える。そうであってほしいと、だんだん、強く思うようになっていった。芸術で結ばれている2人であってほしいと。時をこえた2人かもしれないけど、芸術の好きなものどうしで。


中学の先には、藤原鎌足のお墓とされている阿武山古墳があり、家の近くには継体天皇陵とされる今城塚古墳もあるから、自分の勉強部屋にも、女の子の芸術家の霊が存在してたとしても何の不思議もなかったりもする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る