第4話:九龍市管理局 麒麟
さて、
【第4話:
いくら無法地帯と言っても、管理するものが居なければそれは街ではなく、ただのクソのたまり場として終わる。しかしそれらをまとめあげ、かつ街として完成させた組織がこの街には存在している。組織────麒麟はたまり場に居た
というのが表向きの麒麟の顔である。
実際には人身売買や臓器密売、更には薬物販売や人に対する薬物の実験すら黙認しているのが現状だ。人間の干物や文字通り人間の人形等など、それらを正当な商売物として麒麟自らが売り出しているのだから、お察しと言えるだろう。彼らもまた、九龍市の住人なのだ。その麒麟のトップに君臨するのは、やはり絶対的な権力者、
空燕もまた、性別がハッキリしていない。男のような出で立ちをしているが、本人はハッキリと否定している。どうやら人間では無いのだから、性別などあるわけが無い。というのが空燕の言い分である。これに関しては他の四皇も1人を除いて同じだ。ちなみに唯一の例外がお弓である。人外でありながら女だと公言しているらしい。
さてこの
ただそれでも一応は、曲者揃いの四皇の中では一番まともな人物と言える。ただしこれは九龍市の価値観における判断であるから、九龍市以外の人間の価値観からすれば、まともでは無いだろうが、それはさておき。
では何がまともなのか。それは他の四皇に唯一ストップをかけられる人物だからである。例えば
そんな彼が、麒麟のトップに立ち続けているのか。それは他ならない、彼の絶対的力によるものであろう。この九龍市内部で毎日、毎秒行われている
「来たぞ
「よう公僕。目当てのもんならそこにある分だけだぜ」
「今回はいくらだ」
「ざっと80万」
「随分と高くなったな?」
ひと仕事終えた
「届かねえんだよ物資が。ったく、仕入先新しく開拓するしかねえみてえだ」
「届かない?」
「おーよ。どうにも市内でシャブとか葉っぱとか、そこのバイヤー狙った襲撃が今までの比じゃねえんだとよ。こっちまで被害くらっちまってら。お陰で売上が減っちまった」
「ふむ」
「で、当然。公僕のテメェが、何とかしてくれんだろ?」
テメェも無関係じゃねえだろ。言外にそう含ませると、
◇
九龍市は今日も治安はない。統治はされているが、人権と尊厳は存在しない。そんな狂った街を統治する、市の
「ようやく売上が元に戻ってなァ。九龍ピザがうめえことうめえこと」
「あら、それは良かった。ここ最近物騒なことばっかりだったからねえ、嬉しいニュースね」
「物騒なのはいつもじゃなーい?」
「シッ、わかってても言うな」
「まあでも、私たちがこうして一緒にお昼を食べられるのも、この人のお陰だものね。ね、
お弓から微笑みながら話を振られると、
「さてな」
本日の九龍ピザの具材は、葉っぱを煮出したスープで茹でた人肉ソーセージと、新作の薬剤。
終
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